eぶらあぼ 2017.12月号
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42右上より時計まわり:宮崎明香、島田彩乃、有吉亮治、池村京子、佐野隆哉 ©Yoshinori KurosawaLes Cinq Parisiens パリ5人組12/10(日)15:00 トッパンホール問 1002(イチマルマルニ)03-3264-0244 http://www.1002.co.jp/Les Cinq Parisiens パリ5人組(ピアニストユニット)フランスで学んだ仲間たちの感性が煌めくアンサンブル取材・文:長井進之介Interview 「パリ5人組」とは同時期にフランスに留学し、切磋琢磨してきた若いアーティストたちが結成した“ピアニストユニット”。池村京子、島田彩乃、宮崎明香、有吉亮治、佐野隆哉という顔ぶれだ。それぞれが第一線で活躍する彼らの音楽が融合して生み出される迫力のサウンド、意欲的なプログラミングは、公演の度に大きな話題を呼んでいる。これまではソロでそれぞれのピアニズムを魅せつつ、2台10手の大曲を配するというプログラムだったが、今回は連弾から2台10手まで、と種々様々なピアノのアンサンブルを楽しめる内容だ。島田、宮崎、佐野の3名に話を聞いた。 「以前からアンサンブルだけのプログラムを作りたいね、と話していたんです。特に今度のコンサートはメンバーが変わっての“リスタート”になりますから、それまでにないことをしたいという考えもありました。そこでまずメインとなる2台10手の曲は長さと内容的に1曲で聴かせられるようなものを…ということで、すぐに『展覧会の絵』と決まりました。あとはバランスを考えながら選曲していったのです」(島田)メンバー同士がリスペクトしあうことで生まれる魅力的なサウンド 今年に入って、橘高昌男に代わり、有吉が加入したことで新たなサウンドが創り出されている最中だという。 「橘高さんが抜けた時、すぐにメンバー同士で“彼しかいない”ということになったんです。フランスに留学していた、同世代の男性ピアニストがなかなかいないこともあるのですが、冒険心もすごくある方なので新しいチャレンジもいろいろできるかなと」(佐野) 多くの聴衆を魅了している彼らのサウンドは、互いへのリスペクトがあるからこそ生み出されるものである。 「5人が全く違う持ち味を持っていて、かち合うところがないんですよね。和気あいあいと意見を交換しながらやっています」(島田) 「それぞれが対等ですが、『展覧会の絵』については、ソロでもよく弾いていらっしゃる佐野さんに音楽の作り方や音色など、いろいろと教えてもらいながらやっている感じですね」(宮崎) メインとなる「展覧会の絵」はこれまでの公演でも編曲を担当してきた松本望によるバージョン。かなり趣向を凝らした編曲になっているという。 「一つの作品の中でもピアノの様々な可能性が魅せられるようなアレンジを、と松本さんにお願いしました。素晴らしいピアニストでもある彼女ならではの素敵な仕上がりになっています」(佐野) 2台ピアノに5人がどのように座るのかは、当日のお楽しみだそうだ。フランス語に共通する感覚を5人が共有 数多くある1台4手の作品からは、今回はビゼーの「子供の遊び」が選曲された。 「フランスもので、遊び心があって…と色々考えていたところ、『これだ!』ということになりまして。とても魅力的な作品なので、たくさんの方に聴いていただきたいという想いもあります」(宮崎) フランスを留学先として選んだ彼ら。ピアニズムはそれぞれもちろん違うのに、ピタリと“融合”するのはなぜなのだろう。 「聴いてきた響き、想像する世界などにやはり共通している部分が多いと思うのです。これは言語に通じているのかもしれません。フランス語の流れるように話す感覚がフランスの作品を演奏するときには大切なのですが、メンバー全員がそれを自然とわかっているのは大きいと思います」(島田) パリの香りを漂わせるピアニスト同士の多様なアンサンブルにより、色鮮やかな世界を存分に堪能させてくれる5人組の公演。今から期待が膨らむ。

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