eぶらあぼ 2017.12月号
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1842月の見もの・聴きもの曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場2月2日 グノー:ファウスト 指/F.シャスラン、演出/N.ジョエル、補訂演出/S.ロシュ、出/J.F.ボラス、E.シュロット、M.アイヒェ2月3、5、10日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/F.シャスラン、演出/O.シェンク、出/V.ナフォルニツァ/A.キャロル(10日)、B.ベルンハイム、M.カッシ、P.ルメッツ2月4、11日 ロッシーニ:セビリアの理髪師 指/J.C.スピノージ、演出/G.レンネルト、出/P.コルガティン、W.バンクル2月8日 〔第62回ヴィーナー・オーパーンバル(舞踏会)(Wiener Opernball)〕2月12、15、18日 モーツァルト:フィガロの結婚指/S.ゲッツェル、演出/J.L.マルティノーティ、出/S.キーンリサイド2月16、19、22日 ロッシーニ:チェネレントラ指/J.C.スピノージ、演出/S.E.ベヒトルフ、出/M.ミロノフ、A.アルドゥイーニ★◎2月24、26日 ヘンデル:アリオダンテ[プレミエ] 指/W.クリスティ、演出/D.マクヴィカー、出/S.コノリー、C.レイス、H.ファヒマ、C.デュモー、R.トロスト、W.シュヴィンクハンマー、演奏/レザール・フロリサン2月25、28日 チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギン 指/L.ラングレ、演出/F.リヒター、出/O.ベズスメルトナ、M.クヴィエチェン、R.ヴィリャソン、F.フルラネット2月27日 ヴェルディ:マクベス 指/G.M.ビサンティ、演出/C.レート、出/Z.ルチッチウィーン・フォルクスオーパー2月1(19:00)、11(19:00)、13(19:00)、16(19:00)、18(19:00)、24(19:00)、26(19:00)日C.コロノヴィツ:ヴィヴァルディ-5番目の季節(ミュージカル) 演出/R.マイヤー2月2(19:00)、7(18:30)、9(19:00)日 J.シュトラウス:ヴェニスの一夜 演出/H.ホルストコッテ2月3(19:00)、8(19:00)、10(18:30)日 R.ロジャーズ:サウンド・オブ・ミュージック(ミュージカル) 演出/R.ドゥセ2月6(19:00)、15(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 新校訂演出/H.ツェドニク★2月17(19:00)、23(19:00)、25(18:30)、28(19:00)日 R.ホイベルガー:オペラ舞踏会[プレミエ] 指/A.エシュヴェ、演出/A.ケーラー2月19(19:00)、22(19:00)、27(19:00)日ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァーアン・デア・ウィーン劇場★◎2月16(19:00)、18(19:00)、20(19:00)、23(19:00)、25(19:00)、27(19:00)日ヘンデル:サウル(オラトリオ)[プレミエ] 指/L.カミングズ、演出/C.グート、出/F.ベッシュ、A.プロハスカ、G.セメンザート、演奏/フライブルク・バロック管◎2月21(19:00)日 ハイドン:アルミーダ(演奏会形式) 指/R.ヤーコプス、出/B.クリステンセン、T.ウォーカー、R.ヨハンセン、A.Z.ジュスティニアーニ、演奏/バーゼル室内管ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(S)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(NY)=カーネギー・ホール(ニューヨーク)、(NP)=ヘイズ・ホール[アーティス=ネープルズ](ネープルズ/アメリカ)]2月3(19:30)(S)日 V.ゲルギエフ指揮 → 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照 2月17(15:30)、18(11:00)、25(14:00)(NY)日G.ドゥダメル指揮 アイヴズ:交響曲第2番、チャイコフスキー:交響曲第4番2月20(19:30)(KH)、23(20:00)(NY)日G.ドゥダメル指揮 ブラームス:大学祝典序曲、ハイドンの主題による変奏曲、交響曲第1番2月24(20:00)(NY)日 G.ドゥダメル指揮マーラー:交響曲第10番〜アダージョ、ベルリオーズ:幻想交響曲2月27(20:00)(NP)、28(20:00)(NP)日G.ドゥダメル指揮 曲目未定ウィーン響[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(S)=祝祭劇場(ザルツブルク)、(M)=フィルハーモニー[ガスタイク](ミュンヘン)、(B)=祝祭劇場(ブレゲンツ)]2月14(19:30)(MV)、15(19:30)(MV)日L.シャニ指揮 ベートーヴェン:コリオラン(序曲)、ピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフ:ロメオとジュリエット(抜粋) 独/J.スタンチュールp2月18(11:00)(KH)、19(19:30)(KH)日L.シャニ指揮 シューマン:ピアノ協奏曲、プロコフィエフ:交響曲第5番 独/D.トリフォノフp、プレゼンテーション/B.レット(18日のみ)2月21(19:30)(S)、22(19:30)(S)、24(19:30)(B)日 L.シャニ指揮 モーツァルト:フィガロの結婚〜序曲、フルート協奏曲第1番、プロコフィエフ:交響曲第5番 独/E.クラムバウアー2月23(20:00)(M)日 L.シャニ指揮 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ:交響曲第5番 独/J.フィッシャーvn◎2月28(19:30)(MV)日 A.アルティノグリュ指揮 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、ラロ:スペイン交響曲、ブラームス:交響曲第2番 独/R.カプソンvn【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年も、毎年恒例の独OPERNWELT誌の年間最優秀賞(2016/17シーズン)が発表になった。主要なところでは、最優秀オペラハウスがリヨン歌劇場。大野和士が退任した直後の受賞というのが皮肉な話だが、受賞理由としては、かつてバイロイト音楽祭で高い評価を得たハイナー・ミュラー演出のワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を再演した企画性などが評価されたようだ(衣裳は山本耀司)。この「トリスタン」や、ネルソンスが降板したバイロイト音楽祭の「パルジファル」を2017年も振ったハルトムート・ヘンヒェンが最優秀指揮者(「トリスタン」を大野が振っていれば…)。一方、最優秀歌手は女声がアニヤ・ハルテロス、男声がマティアス・クリンク。ハルテロスは、かつて新国立劇場で「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のエファを歌ったりしたこともあるので日本でもご存じの方は多かろうが、テノールのクリンクの方は、シュトゥットガルト州立歌劇場のブリテン「ヴェニスに死す」での好演が評価されたというからこれは日本にいてはまずわからない。そして最優秀上演作品はハンブルク州立歌劇場のベルク「ルル」(演出はマルターラー。来年2月に再演あり)。最優秀演出家はドミトリー・チェルニアコフ(パリ・オペラ座でのリムスキー=コルサコフ「雪娘」が高評価)といったところ。ハンブルクの「ルル」は確かに主役のハンニガンが身体を張った演技で話題になったが、コンヴィチュニーの伝説的な演出を葬ってしまった劇場の判断は個人的には?。 さて、前置きが長くなったが、2月の注目公演としてまず目についたのがシュターツカペレ・ドレスデンでティーレマンが振るマーラーの交響曲第3番。確かに彼はミュンヘン・フィル時代に「千人の交響曲」を振っているので、マーラー嫌いとも言いにくいが、本来チョン・ミョンフンに任せていたドレスデンでのマーラーを、自らが、しかも大曲3番を選んで振るというのは正直驚いた。ということもあって、チケットは早々に完売。これと前後してハンブルクのNDRエルプフィルでは、ヘンゲルブロックがマーラーの5番を振るが、こちらは順当(?)な選曲。もう一つ大きな話題は、改修なったベルリン州立歌劇場(リンデン・オーパー)でバレンボイムが振る「トリスタンとイゾルデ」。大編成のワーグナー作品ですら、これまで音響の極めてデッドなシラー劇場での上演を余儀なくされていただけに、良くも悪くもバレンボイム節爆発のワーグナーとなりそうな予感。そのバレンボイムはピアニストとしてもラトル指揮のベルリン・フィルとバルトークのコンチェルトで共演。 古楽系では、ヘンゲルブロックがバルタザール・ノイマン・アンサンブルを指揮するハイドン「天地創造」、ウィーン国立歌劇場にクリスティがこれまた手兵レザール・フロリサンと共に客演するヘンデルの「アリオダンテ」、アン・デア・ウィーン劇場でのヘンデル「サウル」(グート演出)やヤーコプス指揮のハイドン「アルミーダ」など、皆要注目。 他にはミュンヘンでペトレンコ、ドレスデンでティーレマンが振るワーグナーの「リング」からの演目(ただしチケット完売)。ベルリン放送響でのハンス・ロットの交響曲第1番(マーラーの雰囲気そっくり)、フランクフルト歌劇場でのゼレンカのオラトリオ「青銅の蛇」、ウェルザー=メスト指揮バイエルン放送響のヤナーチェク「利口な牝狐の物語」、チューリッヒ歌劇場でのグルベローヴァ記念ガラ、大野和士指揮バルセロナ響、パリ・オペラ・コミークのラモー、シャンゼリゼ劇場でのプーランク「カルメル派修道女の対話」再演(女性歌手があまりに豪華)、ボルドー国立歌劇場でミンコフスキの振るオペレッタ、フルシャ指揮の「カルメン」(英国ロイヤル・オペラ)等々注目公演はキリがない。本文の◎印も是非ご参照のほど。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)2018年2月の
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