eぶらあぼ 2017.12月号
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160■雅楽の芝祐靖が平成29年度文化勲章 を受章 雅楽演奏グループ「伶楽舎」の音楽監督で、雅楽奏者の芝祐靖(すけやす)が平成29年度文化勲章を受章した。文化勲章は、我が国の文化の発展に関して顕著な功績のあった者に対して授与される勲章で、昭和12年度(1937年)に制定された。 芝は、東京都出身。雅楽演奏家の家に生まれ、宮内庁楽部に入り、主に龍笛などを担当。宮中儀式や園遊会の演奏を担ったほか、1959年、天皇皇后両陛下の結婚の際には「御成婚祝典序曲」を作曲した。84年には宮内庁を退職し、翌85年に「伶楽舎」(れいがくしゃ)を創設。武満徹の雅楽曲などにも影響を受け、現代作曲家による雅楽の新曲の演奏や廃絶曲の復元などにも取り組み、長年にわたり、国内外で雅楽の可能性を大きく拡げる活動に尽力している。日本芸術院会員。■吉田都が平成29年度文化功労者に 選出 バレエダンサーの吉田都が平成29年度文化功労者に選出された。文化功労者制度は文化の向上発展に関し特に功績顕著な者を顕彰するため、昭和26年度(1951年)に定められた。 吉田は9歳よりバレエを始め、1983年ローザンヌ国際バレエコンクールでローザンヌ賞を受賞。英国ロイヤルバレエスクールに留学後、84年サドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ団)に入団。88年プリンシパルに昇格。95年英国ロイヤル・バレエ団にプリンシパルとして移籍し、2010年まで活躍。現在はフリーバレエダンサーとして活躍する傍ら、後進の育成にも尽力する。07年紫綬褒章受章、大英帝国勲章(OBE)受勲。■小山実稚恵が紫綬褒章を受章 平成29年秋の叙勲・褒章が11月2日に発表され、ピアニストの小山実稚恵が紫綬褒章を受章した。紫綬褒章は科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた者に授与される。 小山は、チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールの二大コンクールにともに入賞した日本人で唯一のピアニスト。2006年から17年まで、12年間・全24回にわたるリサイタル・シリーズ「小山実稚恵の世界」では、古典から近現代作品まで幅広いレパートリーに取り組み、高い評価を得た。また、ショパン、チャイコフスキー、ロン=ティボー、ミュンヘンなどのコンクールで審査員を務めた。16年には、第67回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞している。■三枝成彰が旭日小綬章を受章 作曲家で東京音楽大学客員教授の三枝成彰が旭日小綬章を受章した。オラトリオ「ヤマトタケル」などの代表作のほか、テレビや映画の音楽も多数手がけている。オペラ作品も多く、イタリアのプッチーニ音楽祭で上演され話題を呼んだ《Jr.バタフライ》や、今年10月には8作目のオペラ《狂おしき真夏の一日》を発表。映画『椿姫』『優駿 ORACIÓN』で1989年日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞。2007年紫綬褒章受章。内閣府http://www.cao.go.jp/■東京・春・音楽祭実行委員長の鈴木 幸一がイタリア星勲章コンメンダトー レ章を受勲 東京・春・音楽祭実行委員会 実行委員長の鈴木幸一がイタリア星勲章コンメンダトーレ章を受勲した。同章は、イタリアと他国の友好協力関係ならびにイタリアとの関係促進に多大な貢献のあった者に対して、イタリア共和国大統領が授与する勲章。 鈴木は、2005年に「東京のオペラの森」の立ち上げに参画。09年からは「東京・春・音楽祭―東京のオペラの森―」として新たにスタートさせ、上野の春の風物詩として定着させた。16年には、リッカルド・ムーティ指揮のもと日伊の若手トップ奏者たちにより編成された日伊国交樹立150周年記念オーケストラの公演を、東京とラヴェンナで実現させた。 鈴木は「2回目の音楽祭に出演いただいたことを機に、ムーティさんと交流が始まり、友情を深めて参りました。来年で14回目を迎える音楽祭も、彼との友情によってここまで続けてこられたと思っています。また新しく文化交流の場、そして若い人たちが巣立っていく場を提供できればと思っております」と述べた。東京・春・音楽祭http://www.tokyo-harusai.com/■「メセナアワード2017」が決定 公益社団法人企業メセナ協議会が「メセナアワード2017」の受賞企業・活動を決定した。「メセナアワード」は、企業による芸術・文化を通じた社会創造の観点で特に優れた活動を顕彰するもの。1991年より実施されている。7団体の受賞企業のうち、以下の3団体が音楽や舞踊に関する活動として選ばれた。●メセナ大賞三菱地所株式会社/三菱地所のShall Weコンサート(出張コンサート)●優秀賞/しまんちゅ心と技賞
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