eぶらあぼ 2017.11月号
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76MUZAパイプオルガン クリスマス・コンサート2017~精霊(ドゥエンデ)が舞い降りる時~聖夜の前のジャンルレスな音楽パーティー文:オヤマダアツシ12/23(土・祝)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 http://www.kawasaki-sym-hall.jp/ クリスマス・シーズンの定番となっているコンサートはたくさんあるが、パイプ・オルガンもその季節がよく似合う楽器だ。多彩なオルガン・コンサートを行っているミューザ川崎シンフォニーホールでも、クリスマスの直前である12月23日に、ちょっとユニークなコンサートが行われる。というのも、オルガニストとして登場する小野田良子は、大学在学中よりジャズ・ピアニストとしてのキャリアをスタートさせながら、聖グレゴリオの家やフェリス女学院大学でオルガンを学び、「夕の祈り」等のコンサートで知られる聖路加国際病院礼拝堂でオルガニストを務めているという音楽家だからだ。 それゆえコンサートのプログラムも、J.S.バッハの重厚な「前奏曲とフーガ イ短調 BWV543」やシベリウスのシンボル的な作品である「フィンランディア」、聖母マリアを讃える聖歌「アヴェ・マリス・ステラ(めでたし海の星)」などから、ディジー・ガレスピーのペンによる「チュニジアの夜」といったジャズ・ナンバー、そしてフラメンコ・ナンバーまで実に多彩。ゲストに世界的トランペッターの日野皓正や、フラメンコなど多ジャンルをカヴァーするギタリストの高木潤一、ラテン・パーカッションほか多種多様な楽器を操る藤橋万記を迎え、何が飛び出すかわからない「ちょっと早いクリスマス・プレゼント」のようなライヴが繰り広げられるだろう。日野皓正トリトン晴れた海のオーケストラ 第3回演奏会週末の昼下がりにモーツァルトはいかが?文:飯尾洋一11/11(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/ 第一生命ホールを拠点に矢部達哉が率いる室内オーケストラ「トリトン晴れた海のオーケストラ」が、第3回演奏会を開く。このオーケストラは認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークが2015年6月に立ち上げた。最初に耳にしたときは、なんと風変わりな名前の楽団なのかと思ったものだが、これは第一生命ホールが位置する中央区の晴海にちなんで名づけられたもの。それにしても「晴れた海」という言葉がもたらす明るく開放的なイメージは魅力的だ。ネーミングにふさわしいのびのびとした音楽を誰しも連想するのではないだろうか。 メンバーは強力だ。コンサートマスターの矢部達哉をはじめ、在京オーケストラを中心に各地で活躍する日本の名手たちがずらりと顔を並べる。そして指揮者はいない。オーケストラと名乗ってはいても、室内楽の延長線上にあると見ればよいのだろうか、メンバーの自発的なコミュニケーションからひとつの音楽が生み出される。 曲は第1回、第2回の演奏会と同じ過去の演奏会より ©上仲正寿広田智之 ©HIKARU☆矢部達哉 ©大窪道治高木潤一藤橋万記小野田良子く、オール・モーツァルト・プログラム。今回は歌劇《フィガロの結婚》序曲、セレナータ・ノットゥルナ、オーボエ協奏曲、交響曲第39番の4曲が演奏される。オーボエ協奏曲では広田智之がソロを務める。精鋭たちによる緻密で小気味よいアンサンブルを期待するとともに、どんなモーツァルトを表現するのか、指揮者を置かないアンサンブルの可能性という点でも注目度は高い。

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