eぶらあぼ 2017.11月号
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54©TAKUMI JUN東京オペラシティ リサイタルシリーズ B→C 周防亮介 ヴァイオリン11/11(土)16:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール問 大阪アーティスト協会06-6135-050311/14(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp/周すほう防亮介(ヴァイオリン)若き駿才が魅せる無伴奏の世界取材・文:伊藤制子Interview 東京オペラシティの人気シリーズ『B→C』。「以前から出演してみたいと思っていた」という演奏家は少なくないが、11月に同シリーズ(東京&大阪公演)で妙技を披露してくれるヴァイオリンの周防亮介もそのひとりである。 「現在、東京音楽大学で師事している師のひとりである神尾真由子先生から『B→C』で弾かれた際のお話を伺っていましたが、これまで本当に素晴らしい方ばかりが出演されてきたシリーズなので、まさか自分が演奏できるようになるなんて思ってもみませんでした。オファーをいただいて本当に嬉しかったです」 1995年生まれながらすでに数々のコンクールで好成績を収めており、次代を担う存在である周防。現在NPO法人イエロー・エンジェルより貸与されている1678年製のアマティは「明るさや輝き、そして深みもある楽器」だという。この名器を携えて初めてのオール・無伴奏プログラムに臨む。 「無伴奏作品は空間をたった一人で支配できるという魅力があります。一人で立ち向かっていかなくてはならないので、難しさもありますが、自分への挑戦になりますので、楽しみにしています」 今回のプログラムには個々の作品が繋がっていくストーリーがあるという。 「冒頭で弾く神秘的で緊張感もあるシュニトケの『ア・パガニーニ』が、バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの儚さや憧れのようなものへ繋がっていきます。そこからバッハ『音楽の捧げもの』の主題を用いた尹伊桑の『大王の主題』、そしてバッハのハ長調の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番の清明な世界になり、最後のイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番で、それまでの感情が解放されていくような物語を感じてもらえればと思います。このソナタには人生や人間の感情のようなものが表現されているのではないでしょうか」 また、このリサイタルは自らの新しい扉を開いていくものになるとも考えている。 「ヴァイオリンは自分自身の声の代わりになるものだと考えていますので、楽器による声を通じて、聴衆のみなさんに自分なりのメッセージを伝えていきたいと思っています」 最近は洋画家・絹谷幸二の絵画に魅せられ、イタリア的な明るい色彩の世界からもインスピレーションを受けている。 「今回のプログラムを色に例えると、色と色とが複雑に混じり合ったようなイメージなので、当日は衣装や靴の色使いにも工夫を凝らしたいと思っています」 若き才能の新たなステージは、耳にはもちろん、眼にも鮮やかな一夜になるだろう。ミュージック・イン・スタイル 40周年記念コンサート 岩崎 淑シリーズ Vol.40“岩崎ファミリー”によるメモリアルな夕べ文:笹田和人 わが国を代表する名ピアニストが、様々な楽器の名手を迎えて、室内楽の快演を披露してきた『ミュージック・イン・スタイル 岩崎淑シリーズ』が、40周年を迎えた。節目を記念するステージは、弟で世界的チェリストの洸、甥で米ナッシュビル響コンサートマスターを務める潤と共に。デュオとトリオの佳品を響かせる。 ミュンヘン国際コンクールの二重奏部門で第3位となるなど登竜門で実績を重ね、演奏家として、そして指導者として、楽壇を常にリードし続ける岩崎淑。12/1(金)19:00 浜離宮朝日ホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677http://www.proarte.co.jp/岩崎 淑 ©Eisuke Miyoshiそのキャリアの初期から続けて来たこのシリーズは、古典のみならず、新作の委嘱や若手の起用も行い、日本の室内楽シーンに足跡を残してきた。 「取り上げた作品、共演者の名演、ハプニングが思い出されます」と40年を振り返る岩崎。ハイドン(ピアティゴルスキー編)「ディヴェルティメント」を洸と、ロカテッリ(イザイ編)「ソナタ」を潤とのデュオで、そしてメンデルスゾーンの第1番とベートーヴェンの第7番「大公」、2つのピアノ三重奏曲を披露する。

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