eぶらあぼ 2017.11月号
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37エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ) コロラトゥーラの女王が《ルチア》で日本最後のオペラ出演!文:石戸谷結子ハンガリー国立歌劇場 《ランメルモールのルチア》11/9(木)18:30 東京文化会館エディタ・グルベローヴァ オペラ名曲を歌う10/26(木)19:00 すみだトリフォニーホール問 コンサート・ドアーズ03-3544-4577http://www.concertdoors.com/※ハンガリー国立歌劇場来日公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。他公演(グルベローヴァのソロ公演)10/29(日)びわ湖ホール(077-523-7136)11/2(木)札幌コンサートホールKitara(オフィス・ワン011-612-8696) 昨年に続き、エディタ・グルベローヴァが来日する。今回はハンガリー国立歌劇場との公演で、長大至難のアリアで知られる《ランメルモールのルチア》でのタイトルロールを歌うのだ。《ルチア》は42年前、20代後半のグラーツ歌劇場での公演以来、彼女の主要レパートリーになっていた。しかし、ここしばらくはどこでも歌っていない。日本では1996年のフィレンツェ歌劇場以来ということになる。古希を迎えた彼女が披露するコロラトゥーラの超絶技巧を駆使した、あの〈狂乱の場〉、これはまさに奇跡! そんなエディタには強力なサポーターがいる。オペラ公演やリサイタルには巨大な花束を持って世界中から大勢の人が駆けつける。エディタはそんな熱烈なファンたちに支えられ、常に第一線で活躍してきたのだ。その彼女が、来年は歌手生活50年を迎える。2月のチューリッヒ歌劇場を皮切りに、6月はウィーンで、7月にはミュンヘンで50周年記念ガラが盛大に開催される。 それに先立ち、日本ではオペラ・アリアのコンサートも開かれる。プログラム後半は《ロベルト・デヴリュー》などのベルカント・アリアが中心だが、前半はモーツァルト。《後宮からの誘拐》のコンスタンツェの名アリアも聴きものだが、《イドメネオ》から第3幕幕切れのエレットラの激しい〈オレステとアイアーチェの苦悩を〉を歌うのも楽しみだ。今まさに円熟の境地に到達したエディタの技巧の限りを尽くした、お得意のアリアを集めたコンサート。指揮はペーター・ヴァレントヴィッチ、管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団。 グルベローヴァは聴く人にパワーと生きる歓びを与えてくれる、まさに奇跡の人なのだ。©Nagy Attilaライナー・ホーネック(指揮/ヴァイオリン) 新日本フィルハーモニー交響楽団ウィーンの名手が“弾き振り”で聴かせる2大名作文:オヤマダアツシ第580回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉11/17(金)19:00、11/18(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ ライナー・ホーネックといえば、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターにして、現在は紀尾井ホール室内管弦楽団(旧「紀尾井シンフォニエッタ東京」)の首席指揮者を務め、ヴァイオリニストとしても多くのコンサートに登場するという、日本でもおなじみの音楽家だ。そのホーネックが、新日本フィルハーモニー交響楽団の11月「トパーズ」定期シリーズに登場。ソロ・ヴァイオリンも兼ねた弾き振りスタイルで、ヴィヴァルディの「四季」とモーツァルトの「ハフナー」セレナーデという、2つの名作を披露する。 2曲ともヴァイオリン・ソロが際立つ曲であり、オーケストラとの緊密なアンサンブルによって魅力が引き出される作品。「四季」はイタリアのヴェネツィア、「ハフナー」はオーストリアのザルツブルクで生まれた曲ながら、2人の作曲家ともにウィーンへの憧れが強かったという事実もある。とするなら、ウィーンの味わいを知り尽くすホーネックが音楽をリードすることで上品かつ典雅な演奏が生まれ、2人の作曲家は雲の上から微笑むかもしれない。 個性的かつ意欲的なプログラムが多い今シーズンの新日本フィル定期だが、この回はオーケストラ・コンサートに興味津々の家族や友人を安心して誘えるプログラムだ。過去のコンサートで指揮者&リーダーとしてのホーネックに魅了された方も、期待を胸にすみだトリフォニーホールへ。ライナー・ホーネック

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