eぶらあぼ 2017.11月号
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1961月の見もの・聴きもの2018年1月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場1月1、3、5日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 指/C.マイスター、演出/O.シェンク、出/H.リッパート(1日)/M.シャーデ、R.ハングラー(1日)/L.エイキン、H.P.カンメラー(1日)/J.シュメッケンベッヒャー、Z.クシュプラー/S.ハウツィール(3日)1月2日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 指/P.ランゲ、演出/A.ノーブル、出/A.エレート、D.エレン、C.レイス1月4、7、10日 ベッリーニ:清教徒 指/E.ピド、演出/J.デュー、出/パク・ジョンミン、D.コルチャク、A.プラチェトカ、V.ギマディエヴァ1月8、12日 プッチーニ:トスカ 指/J.ロペス・コボス、演出/M.ヴァルマン、出/A.ゲオルギュー、M.ジョルダーノ、E.シュロット1月11、13、16、19日 ドニゼッティ:連隊の娘指/E.ピド、演出/L.ペリー、出/S.ドゥヴィエル、J.テシェール、C.アルバレス、M.リポヴシェク1月14、17、20日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ指/S.ゲッツェル、演出/J.L.マルティノーティ、出/L.テジエ、E.シウリナ、夏侯金旭、A.ダッシュ1月23、26、29日 ビゼー:カルメン 指/J.C.スピノージ、演出/F.ゼッフィレッリ、出/M.グリツコヴァ、P.ベチャワ、C.アルバレス、O.ベズスメルトナ1月25、28日 グノー:ファウスト 指/F.シャスラン、演出/N.ジョエル、出/J.F.ボラス、E.シュロット、M.アイヒェウィーン・フォルクスオーパー1月1(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり新校訂演出/H.ツェドニク1月2(19:00)、8(19:00)、12(19:00)、15(19:00)、22(19:00)、31(19:00)日 ベナツキー:アクセル、天国の扉の前で 演出/P.ルント1月3(19:00)、6(17:00)、13(18:00)、16(19:00)、19(19:00)日 F.レーヴェ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ヘルツル1月4(18:30)、7(16:00)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ1月5(19:00)、9(19:00)、11(19:00)、21(18:30)、24(19:00)、28(16:30)日 モーツァルト:フィガロの結婚 演出/M.A.マレッリ1月10(19:00)、17(19:00)、25(19:00)、30(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:ヴェニスの一夜演出/H.ホルストコッテ1月14(16:30)、20(18:00)、23(19:00)、26(19:00)日 R.ロジャーズ:サウンド・オブ・ミュージック(ミュージカル) 演出/R.ドゥセ1月27(19:00)日 C.コロノヴィツ:ヴィヴァルディ-5番目の季節(ミュージカル) 演出/R.マイヤーアン・デア・ウィーン劇場★◎1月19(19:00)、21(19:00)、23(19:00)、26(19:00)、28(19:00)、30(19:00)日ドニゼッティ:マリア・ストゥアルダ[プレミエ]指/P.アッリヴァベーニ、演出/C.ロイ、出/M.ペーターゼン、A.デショーティーズ、N.ラインハルト、演奏/オーストリア放送響◎1月24(19:00)日 ヘンデル:シピオーネ(演奏会形式) 指/M.クリシコス、出/X.サバタ、Y.ミネンコ、G.ハンツァール、D.イドリソヴァ、演奏/アルモニア・アテネア◎1月27(19:00)日 N.A.ジンガレッリ:ジュリエッタとロメオ(演奏会形式) 指/G.ペトルー、出/A.ハレンベリ、M.E.チェンチチ、X.サバタ、演奏/アルモニア・アテネアウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(S)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(MC)=グリマルディ・フォーラム(モンテカルロ)、(MAD)=テアトロ・レアル(マドリード)、(BAR)=アウディトリオ・バルセロナ(バルセロナ)、(MUC)=フィルハーモニー[ガスタイク](ミュンヘン)]◎1月1(11:15)日 R.ムーティ指揮(ニューイヤー・コンサート) ヨハン・シュトラウス・ファミリー他の作品1月11(19:30)、12(20:00)(MC)、13(20:00)(MAD)、14(20:00)(BAR)日 G.ドゥダメル指揮 マーラー:交響曲第10番〜アダージョ、ベルリオーズ:幻想交響曲1月16(20:00)(MUC)日 G.ドゥダメル指揮 ブラームス:大学祝典序曲、ハイドンの主題による変奏曲、交響曲第1番1月18(22:00)日 第77回ウィーン・フィル舞踏会(Ball der Wiener Philharmoniker)指/P.ドミンゴ 1月27(19:30)(S)、31(19:30)(S)日 R.ティチアーティ(27日)/A.アルティノグリュ(31日)指揮 → 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照 ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)]1月1(20:00)(KH)日 P.ジョルダン指揮 ベートーヴェン:交響曲第2番、第9番「合唱」独/E.マギーS、A.フォンドゥングA、A.シャーガーT、D.イヴァシュチェンコBs1月10(19:30)(KH)、11(19:30)(KH)日P.ジョルダン指揮 ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」、第7番1月14(11:00)(KH)、15(19:30)(KH)日P.ジョルダン指揮 ベートーヴェン:交響第1番、第3番「英雄」 司会/B.レット(14日のみ)【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 バイエルン州立歌劇場がこの秋来日し、注目の指揮者キリル・ペトレンコが初めて日本の聴衆の前で演奏を披露してくれたのを機に、「ぜひ本拠地ミュンヘンで彼の演奏を聴いてみたい」という方も増えてくるのではなかろうか。そうした方々には1月のミュンヘンはグッド・タイミング。ペトレンコ指揮で、ワーグナーの「ニーベルングの指環」ツィクルスが開始されるからだ(新演出ではないのでご留意のほど)。このツィクルスは、来夏のミュンヘン・オペラ・フェスティバルでも7月に上演されるため、休暇的には夏の方が出かけやすいということもあろうが、1月は、このペトレンコの「リング」の他にも、ドレスデン(ゼンパーオーパー)ではティーレマン指揮の「リング」、ライプツィヒ歌劇場でもここ数年人気の高い「リング」、ハンブルク州立歌劇場ではケント・ナガノ指揮の「ワルキューレ」、オランダ国立オペラでは「トリスタンとイゾルデ」のプレミエと、ワーグナー・ファンにとってはなかなか魅惑的な公演が並んでいる。出演歌手を比較するだけでも面白い。ただし、ペトレンコやティーレマンの「リング」はすでに完売の可能性もあるので、その点ご了承のほど。 「ワルキューレ」を上演するハンブルク州立歌劇場は、この他にも、ナガノの指揮で、ベートーヴェン「フィデリオ」のプレミエや、ベルクの「ルル」、細川俊夫の「静かな海」の再演など注目公演が目白押しだ。 その他のオペラでは、オラトリオの演出付公演ながら、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)でウィリアム・クリスティが棒を担当するヘンデルの「イェフタ」も重要。クリスティ以外にも古楽系の巨匠たちの活躍が目立ち、ルネ・ヤーコプスは、ベルリン古楽アカデミーを率いて、ザルツブルク・モーツァルト週間でモーツァルト「後宮からの誘拐」のプレミエ公演、ミンコフスキは、音楽監督を務めるフランスのボルドー国立歌劇場で、ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」のプレミエ公演を振る。また、アン・デア・ウィーン劇場の古楽系オペラを交えたラインナップも相変わらず魅力的で、1月のドニゼッティ、ヘンデル、ジンガレッリのオペラもそれぞれ聴きもの。近現代ものでは、ビエイトの演出するベルリン・コーミッシェ・オーパーのシュレーカー「烙印を押された人々」が要注目。 オーケストラでは、小澤征爾の登場するベルリン・フィルにまず言及しておこう。ラヴェルの「子どもと魔法」をメインとしたプログラムが組まれているが、とにもかくにも万全の体調で無事に演奏会を終えてもらえることを祈るばかりだ。そのベルリン・フィルの現シェフであるサイモン・ラトルは、今後の活動の中心であるロンドン響とともにシェーンベルク、ストラヴィンスキー、ミヨー他の共作による「ジェネシス組曲」や、イザベル・ファウストを独奏とするベルクのヴァイオリン協奏曲など意欲的なプロを振る。バイエルン放送響に客演して演奏するマーラーの「大地の歌」も注目公演。ロンドン響は、ロトが登場して取り上げるドビュッシーやマスネのフランス作品も魅力的。ロトは手兵のレ・シエクルともドビュッシーやブーレーズを演奏する(パリのフィラルモニー)。 一方、メッツマッハーがユンゲ・ドイチェ・フィルを振るアメリカ/イギリス作品集も、バーナード・ハーマンの「タクシー・ドライバー」やリーバーマンの「ジャズバンドと交響楽団のための協奏曲」など異色の曲が含まれていて面白い(ムジークフェライン/ケルンのフィルハーモニー/フランクフルトのアルテオーパーなど)。その他、ムーティ指揮のウィーン・フィル(ニューイヤー・コンサート)やクルレンツィス指揮フィルハーモニア・チューリッヒなども注目だが、ベルリン古楽アカデミー(ザルツブルク・モーツァルト週間)とフライブルク・バロック管のそれぞれの管楽アンサンブルがモーツァルト「グラン・パルティータ」を競演するのも管楽器ファンにとっては嬉しい限り。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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