eぶらあぼ 2017.11月号
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177コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPAL■第4回「アリオン桐朋音楽賞」「柴田 南雄音楽評論賞」受賞者が決定 第4回「アリオン桐朋音楽賞」(ピアノ部門)と「柴田南雄音楽評論賞」の授賞式が9月29日、東京都内で行われた。「アリオン桐朋音楽賞」の受賞者は千葉百香(横浜市立豊田中学校3年)。 選考委員長の梅津時比古は千葉について「全員一致でひとりを本賞に推したのは、この賞で初めてだった」と振り返り、「作品の世界を響きで一瞬にしてとらえる感性をもっており『また聴きたい』と思わせる魅力を持っている」と評した。 「柴田南雄音楽評論賞」は、鐵百合奈(てつ・ゆりな/東京芸術大学大学院修士課程)と堀内彩虹(ほりうち・あやこ/東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程)の2名。鐵は『「ソナタ形式」からの解放 〜ベートーヴェンの「第二主題」が投げ掛けるもの〜』が、堀内は『音楽の共有(不)可能性—感覚に忠実な聴取がもたらす新時代のコミュニケーション論—』が受賞作となった。 選考委員長の三浦雅士(文芸批評家)は講評で鐵の音楽時評について「時評というよりは論文であり、音楽学者、音楽批評家である他の選考委員が強く推したが文芸批評家としては疑問を感じないでもなかった」と説明、堀内については「いわゆる文芸批評にいっそう近づいている。『共有(不)可能性』という彼女のテーマには、音楽社会学が食指を伸ばしたくなる主題が詰まっている」と評した。 「アリオン桐朋音楽賞」(主催:学校法人桐朋学園アリオン江戸音楽振興基金)は18歳以下の若手音楽家の助成を目的としており、「柴田南雄音楽評論賞」は音楽評論を広く社会に発表し、音楽文化の質の向上に貢献することが期待される優秀な個人に対して贈られる。アリオン江戸音楽振興基金http://www.tohomusic.ac.jp/toho-arion/■第7回 野島稔・よこすかピアノコンクール 開催 横須賀市在住の名ピアニストの名を冠する「第7回 野島稔・よこすかピアノコンクール」が2018年4月29日から5月5日にかけて実施される。若い才能あるピアニストの発掘と育成や音楽の振興などを目的として、公益財団法人横須賀芸術文化財団が06年より隔年で開催している同コンクールは、コンテスタントの技術面だけでなく音楽性や将来性なども重視した総合的な審査、第1次予選から本選までの一般公開(無料)、さらに入賞者や入選者への特典として財団が主催するコンサートに出演する機会が与えられることが特色。出場者のレベルが高いことでも知られ、本選の会場はよこすか芸術劇場・大ホールが使用される。審査委員は野島稔(審査委員長)、東誠三、上野真、梅津時比古、野平一郎の5名。※応募等の詳細については下記ウェブサイトをご確認ください。第7回 野島稔・よこすかピアノコンクールhttp://www.yokosuka-arts.or.jp/education/nojima-piano/■訃報:ピーター・ホール氏 英国を代表する名演出家のピーター・ホール氏が9月11日、ロンドンの病院で死去した。86歳。 1930年、英国東部サフォーク州生まれ。60年に名門劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーを創立。73年から88年までロイヤル・ナショナル・シアターの芸術監督を務め名声を不動のものとし「英国演劇界の父」と称された。代表作に『ザ・ホームカミング』『アマデウス』など。オペラの分野でも著名で、88年には英国ロイヤル・オペラ・ハウスで《サロメ》、84年から90年までグラインドボーン音楽祭の芸術監督として《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》などを演出した。バイロイトにも進出し、83年には《ニーベルングの指環》を手がけている。この時の指揮者はゲオルグ・ショルティだった。82年にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で《マクベス》を演出したほか、アメリカのいくつかの歌劇場で演出を行った。■訃報:スザンヌ・フランク氏 カルミナ四重奏団(スイス)の第2ヴァイオリン奏者を務めたスザンヌ・フランク氏が9月29日朝、チューリッヒで肺感染症のため死去した。54歳。 カルミナ四重奏団は1984年に創設。たびたび日本を訪れ、なかでも第一生命ホールでは、2009年、11年、13年、15年と演奏を重ねた。 15年の日本ツアー時にはすでに癌を発病していたフランク氏だったが、ツアー中も厳しい治療を続けながら東京、大阪、名古屋、新潟、海老名、横浜で演奏。東京では日本の若い弦楽四重奏団へのマスタークラスも行った。東京、大阪、名古屋、新潟で演奏したモーツァルト「レクイエム」弦楽四重奏版(リヒテンタール編)はフランク氏の発案によるもの。これが日本での最後の演奏となった。■訃報:小野光子(てるこ)氏 チャイコフスキーなどロシア歌曲の先駆者として知られるソプラノ歌手・小野光子氏が9月27日、老衰のため死去した。90歳。 1927年鎌倉生まれ。49年に東京音楽学校(現・東京芸術大学)卒業後、モスクワ音楽院で学んだ。日本人として初のモスクワ音楽院留学生だった。著書『回想 音楽の街 私のモスクワ』(朔北社刊)によると、いったん帰国してから再度ソ連に渡り、180回もの演奏会ツアーを行ったという。東京芸大での教育活動の傍ら、日本音楽コンクール、チャイコフスキー国際コンクールの審査員を務めた。

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