eぶらあぼ 2017.10月号
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72トルヴェール・クヮルテット 結成30周年記念2days in 東京文化会館小ホール世界に冠たる30年間の粋を聴く文:柴田克彦10/8(日)、10/9(月・祝)各日14:00 東京文化会館(小)問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/ 日本のサクソフォンのレベルは極めて高い。数ある四重奏団もみな上手い。その頂点に立つ名手として長年同楽器界を牽引してきたのが須川展也、最高峰に位置してきた四重奏団が須川率いるトルヴェール・クヮルテットである。1987年に須川と彦坂眞一郎、新井靖志、田中靖人の4人で結成。以来、世界トップレベルの四重奏団として活躍し、破格の技量や高機能のアンサンブルはもとより、立体的なサウンドと自在かつ高度な表現、生気と躍動感に充ちた音楽で、万人を魅了してきた。 そんな彼らが今年結成30周年を迎え、東京文化会館小ホールで、2日にわたる記念公演を行う。結成間もない頃から参加しているピアニストの小柳美奈子も出演。プログラムは両日共通のラヴェルの弦楽四重奏曲以外、すべて異なっている。 初日は「G線上のアリア」に始まり、彼らの名を知らしめた「トルヴェールの《惑星》」より「金星」「木星」等を経て、長生淳の「ティプシー・チューン」で締めくくられる。30周年記念アルバムに収録された長生の作品は、ロマ音楽をテーマにした遊び心たっぷりの1曲だ。 2日目は「My Favorite Things」に始まり、「トルヴェールの《惑星》」より「地球」等を経て、石川亮太の「ナポリ!ナポリ!ナポリ!」に至る。そしてラヴェルの四重奏曲は、昨年9月に急逝した新井靖志(今回は神保佳祐が出演)の編曲。そこに功労者への想いが込められる。 両日とも彼らの多彩な魅力が発揮される内容ゆえに、通して聴くのも良し。サクソフォン独特の豊穣なサウンドと最高の妙技を満喫しよう!小柳美奈子第5回小金井市民文化祭特別公演 こがねいガラ・コンサート2017小金井は音楽家の宝庫だった!文:宮本 明10/22(日)15:00 小金井 宮地楽器ホール問 小金井 宮地楽器ホールチケットデスク042-380-8099 http://koganei-civic-center.jp/ 地元ゆかりの奏者たちによる一日限りの“小金井楽団”が今年も集結する。小金井 宮地楽器ホール恒例「こがねいガラ・コンサート」に出演する特別編成オーケストラ。小金井市在住・出身だったり、市内の学校に通っていた経歴があったりと、濃度は違えど、ほとんどのメンバーが小金井と関わりのある人たち。しかも一線で活躍するソリストやオーケストラの首席奏者など、そうそうたる顔ぶれなのだから、小金井おそるべし。回を重ねるごと、僕も私もと、手を挙げて小金井とのつながりを告白する参加希望者も増えているらしい。指揮を務めるのは、「小学5年生で引っ越してきて以来、小金井とミュンヘンとシュトゥットガルトにしか住んだことがない」という、この小金井オールスターズのまとめ役でもある、地元在住の茂木大輔。 曲目は協奏曲とオペラ・アリアという構成で、ブランデンブルク協奏曲第1番の独奏楽器群7人のうち6人(惜しい!)が小金井人。ウェーバーのファゴット協奏曲の岡本正之、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の奥村愛、そして《コジ・ファン・トゥッテ》の2曲のアリアを歌うテノールの吉田浩之も、コンサートマスターの田中雅子も、みんな小金井組の音楽家たちだ。 578席の、ほどよくインティメートな小金井の音楽の殿堂。おらが街の音楽会を楽しみに集まる地元聴衆の発するシンパシーもひしひしと感じられ、毎年、よそ者のこちらも幸せのおすそ分けにあずかれる気がする、うれしい一日だ。奥村 愛 ©Wataru Nishidaトルヴェール・クヮルテット岡本正之吉田浩之 ©Kyota Miyazono茂木大輔

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