eぶらあぼ 2017.10月号
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61ジャン=クロード・ペヌティエ(ピアノ)フランスの“粋”を伝える至芸文:オヤマダアツシピアノ・リサイタル 10/29(日)17:00 レジス・パスキエとのデュオ 10/31(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ フランスのベテラン・ピアニスト、ジャン=クロード・ペヌティエは、ここ何年か毎年トッパンホールに登場し、静謐かつ濃密な音楽を聴かせている。これまで、フォーレやシューベルトなどを語るように演奏するその佇まいに、心奪われた方もたくさんいるだろう。 今年のリサイタルは晩秋を迎える10月の末。ハ短調ソナタ(第14番 K.457)や、同じハ短調の「幻想曲」(K.475)など“短調のモーツァルト”を前半に演奏し、後半にはシューベルトのト長調ソナタ(第18番「幻想」 D894)を。聴き手を1800年前後のウィーンへと誘うラインナップだ。特に、シンプルな躍動と語り口にあふれたシューベルトの音楽は、ペヌティエが弾くのであれば“若き日々の淡い回想”が聴けるのではないかと期待してしまう。 さらに今回はもうひと晩、特別なデュオ・リサイタルも。登場するのはフランス室内楽の大御所であるヴァイオリニスト、レジス・パスキエである。多くの録音で名演を聴かせてきた2人が演奏するのは、ドビュッシー、フォーレ、プーランク、そして同時代の作曲家カミーユ・シュヴィヤールを加えた、フレンチ・ヴァイオリン・ソナタ・プログラム。これらの曲を演奏し続けてきたベテラン2人の音楽、そして音の色彩は、まさに時代の証言者による唯一無二レジス・パスキエ ©Alavaro Yanez飯森範親(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団話題の新鋭チェリストも登場する期待のチャイコフスキー・プロ文:山田治生第310回 定期演奏会10/19(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルの定期演奏会に飯森範親が客演し、オール・チャイコフスキー・プログラムを指揮する。 注目は、「ロココの主題による変奏曲」でチェロ独奏を務める岡本侑也。今年5月から6月にかけて開催されたエリーザベト王妃国際音楽コンクール・チェロ部門で第2位を獲得したばかりの新鋭だ。1994年生まれの岡本は、指揮者である父親の仕事の関係でドイツに育った。そして6歳でチェロを始める。帰国後、山崎伸子に師事。2011年、高校2年生で日本音楽コンクールに優勝した。この夏にミュンヘン音楽大学を卒業し、秋からは同大学大学院に進む。次代を担う新進気鋭のチェリストが「ロココの主題による変奏曲」でどんな音楽性を披露するのか楽しみである。 飯森は、山形交響楽団音楽監督、日本センチュリー交響楽団首席指揮者、東京交響楽団正指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者などを兼務。なかでも、山響の演奏水準を引き上げ、彼らとのモーツァルトの交響曲全曲演奏&録音が高く評価されている。現代音楽にも強い。また、飯森は、かつてモスクワ放送響の特別客演指揮者を務め、彼らとレコーディングを行うなど、ロシア音楽を得意としている。今回とりあげる「イタリア奇想曲」や「交響曲第4番」など、チャイコフスキー作品は飯森にとって、十八番のレパートリーの一つである。 東京シティ・フィルは、15年に高関健が常任指揮者に就任して以来、若く優秀な奏者も入団し、著しく演奏能力を上げている。飯森とどんな化学反応を起こすのか興味津々である。岡本侑也 ©Shigeto Imuraジャン=クロード・ペヌティエ飯森範親 ©川崎 領の美だといえるだろう。じんわりと味が出るような音楽を聴きたい方には、かけがえのない2夜になるはずだ。公 演 延 期

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