eぶらあぼ 2017.10月号
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濱田芳通(写真:左)桐朋学園大学古楽器科卒業後、スイス政府給費留学生としてバーゼル・スコラ・カントールムに留学。国内外においてCD録音多数、いずれも高い評価を受ける。2013年、バロック・オペラ上演プロジェクト「オペラ・フレスカ」を立ち上げ、C.モンテヴェルディの3大オペラの上演、G.カッチーニの《エウリディーチェ》(世界最古のオペラ譜)を本邦初演している。生命力溢れる自由な即興演奏は、古楽本来のスリリングな魅力を彷彿させる。古楽アンサンブル「アントネッロ」代表。彌勒忠史(写真:右)千葉大学卒業、同学大学院修了。東京芸術大学声楽科卒業。イタリア政府奨学生として渡伊。イタリア国内外でリサイタル、オペラ、音楽祭、テレビ・ラジオ等の番組に出演。ボローニャ大学DAMSにて演出学を学び、古楽歌手としての経験を活かしバロックを中心としたオペラの他演奏会の演出を手がける。平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣新人賞をカウンターテナーとして初めて受賞。二期会会員。50音楽的な視点でつづる天正少年使節の物語取材・文:宮本 明 写真:武藤 章 1582年2月。本能寺で織田信長が謀反に遭う4ヵ月前、4人の日本人少年を乗せたポルトガル船が長崎を出航した。伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルティノ、中浦ジュリアン。「天正少年使節」と呼ばれる、当時13歳の4人は、ザビエル来航以来の日本での布教の成果を誇示するためにヨーロッパに派遣されたのだ。2年半をかけてヨーロッパ大陸に辿り着くと、1年8ヵ月の間にポルトガル、スペイン、イタリア各地を巡り、バチカンではローマ教皇グレゴリウス13世に謁見するという最大の目的を果たす。ところがさらに4年以上をかけて帰国した彼らを待っていたのは、時の天下人・豊臣秀吉によるキリスト教禁教令だった。ある者は国外追放され、ある者は棄教し、ある者は頑なに信仰を守って虐殺された…。濱田芳通(音楽監督・リコーダー・コルネット)彌勒忠史 (カウンターテナー)×

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