eぶらあぼ 2017.10月号
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44飯守泰次郎 新国立劇場は、1997年10月に、團伊玖磨《建・TAKERU》(委嘱新作)の世界初演とともに開場した。つまり、今秋で20周年を迎える。 新シーズンは、新制作のワーグナーの《神々の黄昏》でオープニングを飾る。指揮は同劇場オペラ芸術監督の飯守泰次郎。演出は故ゲッツ・フリードリヒがフィンランド国立歌劇場に遺したプロダクションによる。2015年10月に《ラインの黄金》で始まった《ニーベルングの指環》四部作が漸く完結するわけである。 その後、秋にはヴェルディの《椿姫》、R.シュトラウスの《ばらの騎士》と新国立劇場でも人気の高い演目が続き、翌18年1月には新年にふさわしく、J.シュトラウスⅡの《こうもり》を上演。2月には、11年にブリュッセルで世界初演され、ヨーロッパで話題となった、細川俊夫の《松風》が日本初演される。日本人作曲家のオペラ作品の上演は新国立劇場の特色の一つである。オッフェンバックの《ホフマン物語》とドニゼッティの《愛の妙薬》も楽しみ。どちらもカラフルで楽しい舞台だ。《トスカ》はオーソドックスな人気プロダクション。開場20周年記念特別公演 そして、新国立劇場開場20周年記念特別公演として、4月に《アイーダ》、5月から6月にかけて《フィデリオ》が上演される。 フランコ・ゼッフィレッリ演出の《アイーダ》は、同劇場オープン以来最も人気のあるプロダクションといえよう。まさにゼッフィレッリらしい描写的でゴージャスな舞台。しかし、“凱旋の場”では300名以上が出演するなどの壮大なスペクタクルゆえ、頻繁に上演することは難しく、1998年に開場記念公演として制作され、以後、2003年、08年、13年と、5年ごと(つまり記念のシーズンに)に上演されてきた。今回は、イタ《アイーダ》とカタリーナ・ワーグナーによる新演出《フィデリオ》で祝う文:山田治生リアの名匠パオロ・カリニャーニが指揮を執り、韓国出身のイム・セギョンがアイーダ、ナジミディン・マヴリャーノフがラダメス、世界的な人気メゾソプラノであるエカテリーナ・セメンチュクがアムネリスを歌う。オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。カタリーナ・ワーグナーによる新演出 《フィデリオ》は新制作。飯守泰次郎にとって、芸術監督として任期最後の指揮を執る演目である。今回は、リヒャルト・ワーグナーの曾孫であり、バイロイト音楽祭の総監督を務めるカタリーナ・ワーグナーが演出を担うことで注目される。1978年生まれの若いカタリーナは斬新な演出で知られ、《フィデリオ》でどんな舞台を披露してくれるのか、興味津々である。男装してフィデリオを名乗り、政治犯として囚われている夫を救出しようとするレオノーレを、ドイツ出身でウィーンやバイロイトで活躍し、新国立劇場では今年6月に《ジークフリート》でブリュンヒルデを好演したのに続き、この11月には《ばらの騎士》の元帥夫人も歌うリカルダ・メルベートが演じる。フロレスタンは、やはり同劇場の常連であり、世界的な人気テノールのステファン・グールドが歌う。もちろん、ワーグナーのスペシャリストであるとともに、ベートーヴェンを十八番とする(これまでに東京シティ・フィルと2度、ベートーヴェンの交響曲全集を録音している)飯守の指揮も、東京交響楽団の演奏とともにおおいに期待される。新国立劇場が開場20周年新国立劇場2017/18シーズン開場20周年記念特別オペラ公演《アイーダ》2018.4/5(木)~4/22(日)《フィデリオ》2018.5/20(日)~6/2(土)新国立劇場オペラパレス問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999http://www.nntt.jac.go.jp/opera/

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