eぶらあぼ 2017.9月号
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52セルゲ・ツィンマーマン 無伴奏ヴァイオリンリサイタル神童のDNAを受け継いだ俊英文:笹田和人 「完全なる奇跡」。弱冠9歳でデビューし、卓越した技巧と瑞々しい感性、しなやかで自然な音楽づくりで、耳の肥えた故国ドイツの聴衆をして、こう唸らしめたヴァイオリニスト、セルゲ・ツィンマーマン。26歳となった今、さらなる深みと人間性を併せ持った俊英が、バッハの無伴奏作品という小宇宙へ対峙する。 世界的な名ヴァイオリニスト、フランク=ペーター・ツィンマーマンを父としてケルンに生まれ、5歳で楽器の手ほどきを受け始めて、わずか4年後には、モーツァルトの協奏曲でオーケストラと共演してデビュー。10代にしてバンベルク交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団など、欧州の著名楽団とも共演を重ねた。父から受け継いだ音楽性のみならず、自身の個性をも存分に反映した名演で、聴衆を魅了。2010年に開かれたキッシンゲンの夏音楽祭では、名手レオニダス・カヴァコスの代役として急遽、メンデルスゾーンの協奏曲を披露して絶賛された。翌年11月には、日本の聴衆の前へ初お目見え。ネーメ・ヤルヴィ指揮のNHK交響楽団と共演している。 そんな俊英ヴァイオリニストが、たった1人でステージに立ち、真正面から挑む、バッハの無伴奏作品。“ヴァイオリニストにとっての聖書”と位置付けられる全6曲のうち、今回は、ソナタ第1番と第3番、有名な「シャコンヌ」を含むパルティータ第2番を弾く。「演奏家の人間性そのものを投影する」とされる佳品に、彼はどんな自分を映し出すのか。その瞬間を、ぜひ確かめてみたい。10/28(土)16:00 杉並公会堂問 杉並公会堂03-5347-4450 http://www.suginamikoukaidou.com/他公演(ソナタ第3番・パルティータ第2番のみ)10/31(火)フィリアホール(045-982-9999)©Franz Hamm第7回 関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル IN 京都コンサートホール関西の音大生が一堂に会するオーケストラの祭典文:飯尾洋一9/24(日)14:00 京都コンサートホール問 京都コンサートホール075-711-3231 http://www.kyotoconcerthall.org/ 関西の8つの音大・芸大の学生たちが一堂に会するオーケストラの祭典が開かれる。名匠秋山和慶の指揮のもと、学生オーケストラと合唱団、さらにはオーディションで選ばれた独唱者たちが集まって、若い力を爆発させる。 この「関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル IN 京都コンサートホール」は毎年9月に開催されており、今回で第7回目を迎える。関西の音大・芸大が合同オーケストラを作って互いに切磋琢磨しながら、大学間の交流を深める貴重な機会となっている。 参加校は大阪音楽大学、大阪教育大学、大阪芸術大学、京都市立芸術大学、神戸女学院大学、相愛大学、同志社女子大学、武庫川女子大学の8校。年に1度の音大フェスは学生にとっての教育機会としても大きな意味を持つ。 プログラムはまさにフェスティバルならではのもので、モーツァルトの「レクイエム」、レスピーギの交響詩「ローマの噴水」および「ローマの松」が演奏される。声楽専攻の学生も多いため、例年ソリスト付き合唱曲が含まれるのがこの音大フェスの特徴だ。一方、レスピーギ作品では多数の管楽器奏者を含む大編成のオーケストラが組まれ、色彩感豊かなサウンドが生み出される。 若者たちのポテンシャルを目の当たりにするような、特別な瞬間が訪れるのではないだろうか。昨年の公演より ©京都コンサートホール秋山和慶
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