eぶらあぼ 2017.9月号
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50©Kiyoaki Sasaharaベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ9/16(土)14:00 神奈川/フィリアホール(045-982-9999)9/17(日)14:00 宮城/中新田バッハホール(0229-63-7367)9/18(月・祝)14:00 兵庫県立芸術文化センター(0798-68-0255)9/19(火)19:00 愛知/岡崎市シビックセンター(0564-72-5111)9/21(木)18:30 福岡/石橋文化ホール(活水同窓会筑後支部0942-21-0974)9/23(土・祝)14:00 長野/松本市音楽文化ホール(0263-47-2004)日下紗矢子(ヴァイオリン)大切な仲間と演奏するのが楽しくて仕方がないです取材・文:林 昌英Interview 3月に久しぶりの来日公演を成功させた旧東ベルリンの雄、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団で、2008年からコンサートマスターを務める日下紗矢子。同団を母体として09年に結成された同室内オーケストラでも、彼女はリーダーを務めている。9月には室内オケとして2年ぶり3回目の日本ツアーを行う。 「結成当初は年1回の定期演奏会でしたが、いまは毎年3回、さらにツアーや録音など、室内オケの活動機会が増えています。ずっと一緒に演奏してきてお互いの理解も深まりましたし、地元に定着している手応えも感じます」 室内オケは温かくもシャープな響きで、高い精度と熱気あふれるライヴ感を併せもつ。日下のソロ演奏にも通じる特性だが、それは仲間への思いと、地道な積み重ねの成果でもある。 「このメンバーと演奏するのが本当に楽しいんです。ただ、彼らの質問の多さ、細かさには驚きます。日本なら“こんな感じ”で何となく伝わったりしますが、ベルリンでは絶対に伝わりません。自分の意図を短時間で明確に説明するための準備がとにかく大事。ディスカッションの連続ですが、5分でも早く練習が終わるとみんなとても喜ぶので(笑)、それも心がけています」 今度のツアーは、横浜と松本では「ベルリンで良い感じで弾けたので、ぜひ日本でも」という北欧の名品を取り上げる。他にはチャイコフスキーやバーバーなどを披露するプログラムも。全公演とも前半はバロック協奏曲集で、日下のソロもたっぷり堪能できる。 「例えば、ヴァイオリン初心者の定番曲にもなっているヴィヴァルディのイ短調(『調和の霊感』よりop.3-6)は本当にいい曲ですし、パッヘルベルは『カノン』と共に、本来セットだけど滅多に聴けない『ジーグ』もやります。こういった有名曲も、従来のイメージを変えるような演奏をしたいと考え、あえて取り上げました。改めて見るとコンチェルトが多いですが…みんなと共演できるのは楽しみが大きいです」 ソロ、室内楽、名門オケのコンサートマスター、さらに指揮者なしの室内オケのリーダーと、すべてに高次元で取り組み続ける日下。八面六臂の活躍ぶりだが、当人はあくまで自然体だ。 「私自身は分けて考えていなくて、全部つながっています。形態ごとに違うことを学べて、自分の音楽の世界が豊かになっていくのを感じます。その意味では、自分が楽しむためにやっているだけとも言えます(笑)。大事なのは、勉強する時間をしっかり取ることですね」 “音楽家”日下紗矢子のすべてが表現されるのは、総合力が問われる室内オケのリーダーとしての姿なのかもしれない。「日本の各地で、大好きな仲間たちと一緒に演奏できる…。これは本当に幸せなことだな、と噛みしめています」と語る、その喜びと至芸が存分に披露される日が待たれる。ヴェロニカ・エーベルレ(ヴァイオリン)若き名手が作り出すシリアスで濃密な時間文:飯尾洋一 ドイツ出身の気鋭のヴァイオリニスト、ヴェロニカ・エーベルレがトッパンホールで待望のリサイタルを開く。エーベルレはわずか16歳でサイモン・ラトルに抜擢されベルリン・フィルと共演するなど、早くからその将来を嘱望されてきた、チュマチェンコ門下の才人。日本でもN響や読響との共演やマーティン・ヘルムヘンらとの室内楽で、説得力に富んだ雄弁な名演を聴かせている。 今回のリサイタルではバルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番、バッハのヴァイオリンとピアノのためのソナタ10/28(土)18:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/©Felix Broede第3番ホ長調、シューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番ニ短調という大変に聴きごたえのあるプログラムが組まれた。名器ストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」を操って、モダン、バロック、ロマンティックと三者三様のスタイルによる名曲をどう聴かせてくれるのか。イスラエル生まれのシャイ・ウォスネルのピアノとともに、濃密な時間を作り出してくれることだろう。
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