eぶらあぼ 2017.9月号
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182田代慎之介は、リスト音楽院や東京芸大大学院に学び、国際的な登竜門で実績を重ね、現在は武蔵野音大演奏学科長として後進の指導にも取り組む名ピアニスト。今回は、ブゾーニ編のバッハ「シャコンヌ」に始まり、「自作主題」と「ハンガリーの歌」を主題とするブラームスの変奏曲2作、バルトーク「子供のためにⅠ-Ⅱ」、最後はリスト「死の舞踏」で締め括るプログラム。緩やかながら、有機的な繋がりも感じさせる。バロックへの扉を開いたモンテヴェルディの生誕450年に、彼の手になるオペラの佳品が、新たな生命を得る。暴君として知られるローマ皇帝ネローネと愛人ポッペアを巡る人間関係を軸に、様々な欲望や愛を描く《ポッペアの戴冠》。濱田芳通が音楽監督を務める古楽集団「アントネッロ」が、彌勒忠史(ネローネ)や阿部雅子(ポッペアほか)など充実のキャストと彌勒の演出により、瑞々しいステージを展開する。「ハープ、そして自分にとっての〈次代へ伝えたい名曲〉とは?」世界的奏者の吉野直子が、この問いに出した答えを、音にして綴る。まずは、バッハ「シャコンヌ」を自身の編曲で。そして、ブラームス「間奏曲」やフォーレ「塔の中の王妃」の優しい旋律から、クシェネクのソナタの無機質な音色、武満徹や吉松隆、ルニエによる個性的なサウンドまで。「多彩で奥深い魅力を、味わっていただければ」と吉野は言う。まさにイタリア・バロックの花束だ。精鋭集団「エウローパ・ガランテ」のリーダーとして、古楽界に鮮烈な衝撃をもたらしたヴァイオリンのファビオ・ビオンディ。チェンバロのパオラ・ポンセと共に、コレッリの作品5の第9番をはじめ、ヴィヴァルディ、ジェミニアーニ、タルティーニ、ロカテッリによる名ソナタに、ヴェラチーニ「シャコンヌ」と、故国に咲き乱れたヴァイオリン音楽の傑作を弾き尽くす。月の9濱田芳通(指揮) 彌勒忠史(演出) アントネッロモンテヴェルディ:歌劇《ポッペアの戴冠》「次代へ伝えたい名曲」第11回吉野直子(ハープ)花岡千春(ピアノ)独奏会田代慎之介(ピアノ)ファビオ・ビオンディ(ヴァイオリン)華麗なるイタリア・バロックの世界山田和樹(指揮) 横浜シンフォニエッタ山田和樹の「未完成」「皇帝」「田園」9/2(土)16:00 川口リリア 音楽ホール9/16(土)14:00 彩の国さいたま芸術劇場9/8(金)19:00 東京文化会館(小)9/5(火)19:00 東京文化会館(小)9/18(月・祝)14:00 小金井 宮地楽器ホール9/16(土)14:00 調布市グリーンホール文:笹田和人 ©武藤 章彌勒忠史濱田芳通東京芸大・同大学院を経てパリ・エコール・ノルマル音楽院を首席で卒業、ヨーロッパ各地で演奏活動を展開したピアノの花岡千春。帰国後は演奏活動の一方、国立音大教授として教育にも力を注ぐ。この“独奏会”では、シューマン「交響的練習曲」(1837年版)やベートーヴェンのソナタ第15番「田園」、スカルラッティの3つのソナタ、ブラームスのワルツ集と彩り豊かな佳品へ、演奏家としての自身の姿を投影する。逸材ひしめく日本の“新世代”指揮者の中にあって、その注目度で抜きん出るのが山田和樹。1998年の設立当初から音楽監督を務める精鋭集団「横浜シンフォニエッタ」とは、“酸いも甘いも噛み分けた”間柄だ。今回は交響曲第6番「田園」と、第9回浜松国際ピアノコンクールの覇者、アレクサンデル・ガジェヴのソロで協奏曲第5番「皇帝」とベートーヴェンの作品を。シューベルトの交響曲第7番「未完成」を添えて。山田和樹 ©Marco Borggreveアレクサンデル・ガジェヴ©HIPICファビオ・ビオンディ
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