eぶらあぼ2017.8月号
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66軽井沢国際音楽祭 2017避暑地で聴く音楽もまた格別な味わい文:林 昌英8/18(金)~8/23(水) 軽井沢大賀ホール、軽井沢ユニオンチャーチ、軽井沢ニューアートミュージアム 他問 軽井沢国際音楽祭実行委員会事務局050-3718-8676 http://kimf.net/ 猛暑真っ盛りの8月、冷涼な軽井沢で避暑とともに音楽を楽しめるのが「軽井沢国際音楽祭」。2002年に「Karuizawa & Music」として始まってから15年にわたって継続している音楽祭で、夏の軽井沢の風物詩としても定着している。また、14年よりホッピービバレッジ株式会社の協賛で、ホッピーを使用した音楽祭オリジナルカクテルを会場で楽しめる趣向になっていて、音楽祭に彩りを添えている。 今年のテーマは『ボヘミアン Bohemian』。8月18日、ヴァイオリンの小林美恵のほか、ピアノ、アコーディオン、ギターによる「オープニング・ガラ・コンサート」で開幕。19日の「Happy Hour Concert」では、著名な奏者たちが豪華に集う1時間のショート・プログラムが3公演行われる。各公演の合間にはカクテルで涼をとりながら、古典から新作まで多彩な室内楽曲を堪能できる。20日は名物イベント、「フェスティバル・オーケストラ・コンサート」。音楽祭出演のプロ奏者に、首都圏のアマチュア奏者、講習会受講生が加わるオーケストラが、同音楽祭音楽監督の横川晴児の指揮のもと、ブラームスの二重協奏曲(ヴァイオリン:ジェラール・プーレ、チェロ:ルドヴィート・カンタ)やドヴォルザークの交響曲第8番など、渾身の演奏で名旋律を熱く歌い上げる。以上3日間の会場は軽井沢大賀ホール。21日~23日には、「軽井沢おんがく散歩」と題された公演が、軽井沢ニューアートミュージアム(1公演)、軽井沢ユニオンチャーチ(3公演)で開催され、名手たちが数々の室内楽の愉悦をもたらしてくれる。昨年の音楽祭の模様高関 健(指揮/チェンバロ) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団充実のコンビが“天地”を創る文:柴田克彦第309回 定期演奏会9/8(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 高関健が東京シティ・フィルの常任指揮者となって3年目のシーズンに入った。同フィルは、今年5月定期の高関指揮によるブルックナーの交響曲第3番、6月定期の下野竜也指揮によるドヴォルザークの交響曲第6番と、密度の濃い好演が続き、群響でも実証した高関のオーケストラ・ビルダーとしての手腕が、よりいっそう顕在化してきたように感じる。そうした中、9月定期では高関の指揮によってハイドンのオラトリオ「天地創造」という大物が披露される。 「天地創造」は、晩年のハイドンの総決算ともいうべき傑作。神秘的な混沌から始まるこの曲は、第1部で天地創造の第1日から第4日、第2部で第5日と第6日、第3部でアダムとイヴの姿が描かれる、緻密かつ壮大な音楽ドラマだ。それゆえ高関の的確な構成力と造形力がモノを言うのは間違いない。ソリストも、《魔笛》の夜の女王役で高い評価を獲得し、宗教曲でも力を発揮しているソプラノの安井陽子、宗教曲等のソロやバッハ・コレギウム・ジャパンで活躍するテノールの中嶋克彦、新国立劇場等のバス役には欠かせない名歌手・妻屋秀和を揃えた万全の態勢。特に重要なバスが、深い声で雄弁に歌う妻屋であるのは実に心強い。 高関&シティ・フィルの合唱付大作といえば、就任1年目のドヴォルザーク「レクイエム」、2年目のベルリオーズ「ファウストの劫罰」における、引き締まった進行と東京シティ・フィル・コーアの充実した合唱が相まっての名演が思い出される。となれば、オーケストラ及び合唱との音楽作りが一段と深化した3年目の「天地創造」への期待は、大いに膨らむ。安井陽子中嶋克彦妻屋秀和高関 健 ©Masahide Satoジェラール・プーレルドヴィート・カンタ横川晴児

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