eぶらあぼ2017.8月号
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46大野和士(指揮) 東京都交響楽団最高峰の合唱団も参加する「天地創造」への期待文:山田治生第839回 定期演奏会Cシリーズ 9/10(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール第840回 定期演奏会Bシリーズ 9/11(月)19:00 サントリーホール問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp/ 今年は、ハイドンの傑作オラトリオ「天地創造」の“当たり年”だ。6月にも鈴木秀美指揮新日本フィル(合唱はコーロ・リベロ・クラシコ・アウメンタート)で演奏されたばかりだし、この9月には高関健指揮東京シティ・フィル(8日)と大野和士&都響の公演(10日,11日)と集中的に行われる。さまざまな独自のハイドンの名演が聴けるのはファンとしては大歓迎だ。 さて、大野の振る「天地創造」だが、目玉は何といっても合唱大国スウェーデンの誇る、スウェーデン放送合唱団の参加だろう。1925年に創設され、52年に首席指揮者となったエリック・エリクソンのもとで著しい進化を遂げ、アバド&ベルリン・フィルのレコーディングにもしばしば招かれるなど、世界最高峰の実力派集団としての名声を高めた。来日公演でも2015年10月の都響と共演したモーツァルト「レクイエム」での名演は記憶に新しい。今回のハイドンでは、ソロに林正子、吉田浩之など日本を代表する名歌手のほか、ドイツ・リート界の大物、ディートリヒ・ヘンシェルも招かれているのが嬉しい。 「天地創造」は言うまでもなく、旧約聖書の「創世記」とミルトンの「失楽園」(アダムとイヴの物語)の世界を、ハイドンがオラトリオの形式で表現した一大スペクタクル。管弦楽による描写音楽もふんだんに織り込まれており、こうした部分でも大野の手腕が光ることだろう。卓越した合唱団と名歌手たちを得て、この晩年の大作をどう表現しきるのか興味は尽きない。大野和士 ©Rikimaru Hotta上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団マーラーの名作シンフォニーで“上岡イズム”がいよいよ全開文:オヤマダアツシ第577回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉9/14(木)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ 2016年9月、新音楽監督に上岡敏之を迎えてシーズンをスタートさせた新日本フィルハーモニー交響楽団。コンサートのプログラミング(選曲・構成)や客演指揮者、ソリストなどに“上岡イズム”を注入して変革を図り、彼が指揮台に立つコンサートはやや斬新にも聞こえる演奏の評判も相まって、注目を集めてきた。特にマーラーの交響曲は、音楽監督就任前の16年3月に聴かせた第1番の演奏が実に印象深く、あちこちで独特のバランスや音の処理に驚かされたのも記憶に新しい(オクタヴィア・レコードよりライヴ録音CDが発売されている)。 上岡&新日本フィルにとってセカンド・シーズンとなる2017/18シーズンは、そのマーラーを軸としたプログラムにより、リニューアル・オープンするサントリーホールで幕を開ける。曲は交響曲第5番。第4楽章の「アダージェット」が人気を集める作品だが、そればかりではなく全曲が大きなドラマを作り上げ、各楽器がソロイスティックな妙技を披露する曲としても知られる。徐々に浸透しているであろう“上岡イズム”が、どのような演奏を生むのだろうかという期待も大きい。 そして、このコンサートにさらなる重みを加えるのは、ソリストとして登場するデジュー・ラーンキだ。近年、深みのある音楽が再評価され、来日を待つ聴衆が増えているこのピアニストが、100パーセント真摯なベートーヴェンの4番を聴かせてくれるに違いない。デジュー・ラーンキ ©Palace of Arts - Budapest, Szilvia Csibi上岡敏之 ©Rikimaru Hottaディートリヒ・ヘンシェル ©Susanne Diesnerスウェーデン放送合唱団
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