eぶらあぼ2017.8月号
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42山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団日・独・仏の歴史的名作を体感する文:山田治生第693回 東京定期演奏会9/8(金)19:00、9/9(土)16:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター  03-5378-5911http://www.japanphil.or.jp/ 今年6月に3年にわたるマーラー・ツィクルスを完結させた山田和樹&日本フィル。9月の定期演奏会では、また新たに興味深いプログラムを披露する。最大の聴きものは、東京楽所との共演による石井眞木の「遭遇Ⅱ番」であろう。この曲は“日本フィル・シリーズ”第23作として書かれ、1971年6月に小澤征爾&日本フィルによって初演。このコンビによってレコーディングも行われた(EMIのディスクとして世界的に発売された)。「遭遇」とは、雅楽とオーケストラとの出会いだけでなく、「雅楽のための音楽」と「オーケストラのための雙(そう)」という2つの作品の出会い(同時演奏)をも意味する。山田らしい、過去の日本人作品への目配りと蘇演である。演奏会の最初には、石井のベルリン留学時代の師である、ボリス・ブラッハー(ヴァイオリニストのコリヤ・ブラッハーの父)の「パガニーニの主題による変奏曲」が取り上げられる。 演奏会の後半は、イベールの交響組曲「寄港地」とドビュッシーの交響詩「海」という、海と関わりのあるフランス音楽が並べられる。地中海に面したモナコ公国にあるモンテカルロ・フィルの芸術監督を務める山田ならでは選曲といえよう。山田は、ブザンソンの国際指揮者コンクールで優勝し、スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めるなど、フランス語圏での活躍が顕著であり、フランス音楽との相性も抜群。このイベールとドビュッシーの作品でも色彩豊かでファンタジー溢れる演奏を聴かせてくれるに違いない。山田和樹 ©山口 敦2017セイジ・オザワ 松本フェスティバル今年も名手が集結! 最高の音楽を松本で聴く文:江藤光紀8/13(日)~9/10(日) キッセイ文化ホール、ザ・ハーモニーホール、まつもと市民芸術館 他問 セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会0263-39-0001 http://www.ozawa-festival.com/ 「サイトウ・キネン・フェスティバル」から衣替えした「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」(OMF)は今年で3回目。世界各地から結集した名手たちが今回も妙技を披露する。サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)による3つのオーケストラコンサート、小澤征爾音楽塾オーケストラによるラヴェルのオペラ《子どもと魔法》に加え、小澤とベートーヴェン(ピアノ協奏曲第3番)で競演する内田光子がソロ・リサイタルを開くのも要注目だ。他にも室内楽や子供・一般市民向けの催しなど、街を挙げての盛りだくさんの内容となっている。 小澤と深い絆で結ばれたSKOは棒の先を読んで音楽を運んで行ってしまう超絶オーケストラで、現在の小澤の凄みも彼らがいればこそ。 そんなSKO、緻密なタクトさばきで炎のように熱い演奏を繰り広げるファビオ・ルイージとも、近年は名演を連発している。ルイージは2014年以来、毎年松本の地を訪れていて、4年連続で同じ指揮者の客演は、SKO・OMF史上初めてのことだ。今年も3つのオーケストラコンサートの先陣を切って登場する(8/18,8/20)。 プログラムがマーラーの交響曲第9番というのも心躍る。両者は昨年は「復活」、一昨年は「5番」とマーラーを継続して取り上げている。先だって4月のN響定期で披露した「巨人」でも、ルイージはオーケストラをダイナミックに煽りながら壮大な波動を作り上げた。ライヴ感満点で、まさに聴き逃せない瞬間の連続だったが、SKOとも息が合ってきたこのタイミングでの9番。死を目前にした作曲家の心のうちを、彼らがどんなふうに掘り下げていくのか、想像するだにワクワクする。東京楽所左より:小澤征爾 ©Shintaro Shiratori/ファビオ・ルイージ ©BALU Photography/内田光子 ©Richard Avedon/サイトウ・キネン・オーケストラ ©大窪道治

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