eぶらあぼ2017.8月号
44/191

41読売日本交響楽団サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会エモーショナルな“音のドラマ”に期待!文:飯尾洋一ファビオ・ルイージ(指揮) 読売日本交響楽団8/24(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール8/25(金)15:00 横浜みなとみらいホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ 名匠ファビオ・ルイージが初めて読売日本交響楽団の指揮台に立つ。チューリヒ歌劇場の音楽総監督、メトロポリタン・オペラの首席指揮者他の要職を務め、世界各地の歌劇場とオーケストラに客演するルイージは今もっとも多忙な指揮者かもしれない。日本にもたびたび訪れて、セイジ・オザワ 松本フェスティバルやN響定期公演他で名演を聴かせてくれている。 そんなルイージが読響との共演にあたって選んだのは、ハイドンの交響曲第82番「熊」、R.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」と交響詩「英雄の生涯」の3曲。驚異的に幅広いレパートリーを誇るマエストロだが、いずれも得意の曲目といっていいだろう。ハイドンの「熊」は2015年のセイジ・オザワ松本フェスティバルでの演奏が好評を博した。ハイドンの音楽が持つ形式美やユーモア、愉悦と躍動感を存分に伝えてくれるのではないか。 R.シュトラウスの両作品では、オーケストラの機能性をどこまで引き出してくれるのかが楽しみ。常任指揮者シルヴァン・カンブルランのもと、一段と精妙で色彩的な響きを獲得した読響であるが、おそらくルイージとの間にはまた一味違った化学反応が起きるはず。緻密なサウンドをベースに築きながらも、そこにライヴならではの“熱さ”を積み上げるのがルイージの魅力だ。壮麗かつエモーショナルな音のドラマを生み出してくれるにちがいない。ファビオ・ルイージ Barbara Luisi ©BALU Photography東響コーラス創立30周年記念アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指揮) 東京交響楽団記念公演にふさわしくオリジナリティ溢れる選曲で文:江藤光紀第653回定期演奏会 9/16(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会第62回 9/17(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ 東京交響楽団9月の定期・川崎定期にはロシアの名匠アレクサンドル・ヴェデルニコフが登場する。若くしてボリショイ劇場の音楽監督に就任、劇場改革を推進し、職を退いてからはデンマーク・オーデンセ交響楽団の首席指揮者を務めつつ、世界のトップ・オケへの客演も活発に行っている。来日も増え、東響とは2013年にロシアものを中心とするプログラムで競演しており、鮮やかな音楽作りが評判を呼んだ。 選曲にもセンスが光る。今回のプログラムはヒンデミットの「気高い幻想」から。原曲はアッシジの聖フランチェスコをテーマにしたバレエ音楽で、後年聴きどころをまとめて3楽章の組曲が編まれた。ロンド、行進曲、パッサカリアなどの古典的な様式に、ヒンデミット独特の乾いた歌謡性が香る。 ストラヴィンスキー「詩篇交響曲」でも、ヴァイオリン、ヴィオラを削った吹奏楽的な響きで乾いた叙情が歌われる。こうした宗教的情感の表現にはヒンデミットとの同時代性も読み取れよう。東響コーラスは同団の大作上演に欠かせないパートナーだが、9月にちょうど創立30周年を迎える。オペラ巧者のヴェデルニコフのタクトにどう反応するかも見もの。記念となる公演だから、ひときわ息の合ったところを期待したい。 シベリウスの交響曲第1番では、前半の乾いた情感が北欧の爽やかな叙情へと一転する。最初の交響曲とはいえ、すでにシベリウスは多数の交響詩を手がけており、この交響曲でも作曲家特有の節回しと管弦楽法が大自然の広がりをイメージさせる。 考えられた選曲で、味わい深い記念公演となろう。東京交響楽団&東響コーラス ©堀田力丸アレクサンドル・ヴェデルニコフ

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る