eぶらあぼ2017.8月号
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170CDCDCDCDラ・ストラーダ/デュオ・トラサルディブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集/若林 暢トロンボーン・ギャラリー/東京トロンボーンオーケストラロマンス~ピアノとチェロの夢の世界~/レ・クロッシュ佐藤弘和:遠い谷への旅/D.ボグダノヴィチ:このカエルには羽がない/C.マシャド:サンバランソ/S.アサド:ジョビニアーナ第1番/R.ヴァモス&R.エイヴァース:アニバーサリー・ソング/ピアソラ:オブリビオン/藤井眞吾:あいまいなパッサカリア 他デュオ・トラサルディ【谷川英勢、遠藤 峻(以上ギター)】ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」・第2番・第3番若林 暢(ヴァイオリン)キャスロン・スタロック(ピアノ)J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番/ベートーヴェン:交響曲第9番より/長野雄行:ウインド・オブ・レインボー・アイランド/コズマ:枯葉/ヴォールラス:20人のトロンボーンのためのジャズ・コンディメンツ 他東京トロンボーンオーケストラアーン:私の詩に翼があったなら/フォーレ:ワルツ・カプリス第1番、ロマンス/ショパン:舟歌/パガニーニ:ロッシーニ《モーゼ》の主題による変奏曲/サン=サーンス:あなたの声に心は開く 他レ・クロッシュ【宇宿真紀子(ピアノ)、宇宿直彰(チェロ)】ウッドノート・スタジオWNCD-1022 ¥2700+税G-Tone(ソニー・ミュージックダイレクト)MHCC-30004 ¥2500+税マイスター・ミュージックMM-4012 ¥3000+税BeltàレコードYZBL-1048 ¥2500+税当アルバムに収録の楽曲とそれらが一体化した情感、どことなくジスモンチ的だなと思っていたら解説に「ジスモンチに影響を受け」とあるデュオ・トラサルディの新作『ラ・ストラーダ』(道)。コンセプトは「旅」。大半は有名曲ではないものの素敵な佳品ばかり、各曲に流れるオーガニックな質感が実に心地良い。ボグダノヴィチやマシャド作品の民族的な響き、R.ヴァモス&R.エイヴァースの気の利いた軽い“小唄”が楽しいが、勿論アサドとピアソラ両御大の傑作も名奏。最後の藤井眞吾「あいまいなパッサカリア」では、旅は地理的なものではなく内面の比喩として提示される。(藤原 聡)この盤に出会えて、本当に良かった。昨年亡くなった若林暢については本誌6月号Close Upに詳しいが、当盤を聴いて、生前に体験できなかった無念と共に、CD復刻に関わる人々の熱意もよく理解できた。同記事でも言及されているように、往年の巨匠そのものと言うほかない表現で、30代半ばでの録音とは思えぬほど。濃密な音色と歌心、変幻自在の表情、雄大なスケール。なにより、すべての音から作品への共感と感動が伝わり、その結果として、ひたすらブラームスの音楽のすばらしさに陶然とさせられる。最高のブラームスを体験したいという人であれば、絶対に聴くべき一枚である。(林 昌英)2004年に結成された国内唯一の常設トロンボーン室内楽団のファースト・アルバム。11人から20人まで編成を変えながら、多彩な楽曲が演奏されている。特殊な形態だが、ハーモニーを得意とする楽器だけに、サウンドはことのほか豊潤。聴き進むうちに段々とその音色に魅せられていく。面白いのはやはり20本のために書かれた長野雄行とヴォールラスの作品。特にグリッサンドを巧みに用いた前者では、同楽器ならではの魅力を存分に味わえる。全楽章の印象的な旋律が並んだ「第九」も意外な新感覚が愉しく、独特のスウィング感が効果絶大な「枯葉」は文句なしの聴きもの。(柴田克彦)豊かな「レ・クロッシュ(鐘)」の音色が、再び響きわたる。共に幼少からパリで学んだ、ピアノ宇宿真紀子とチェロ宇宿直彰による姉弟デュオ。5枚目のアルバムにも、たゆみない研鑽の跡と、音楽への深い愛情がしっかり刻み込まれている。タイトルに冠したフォーレの「ロマンス」をはじめ、サン=サーンスのオペラの名アリアなど、得意のフランス作品を軸に、パガニーニの技巧に満ちた変奏曲ほか、歌心と愉悦を併せ持つデュオの佳品を厳選。姉弟ならではの阿吽の呼吸のみならず、時に丁々発止の真剣勝負の場面も。合間に織り込まれたピアノ作品は、ソリストとしての真紀子の卓越した能力を示す。(笹田和人)
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