eぶらあぼ2017.8月号
159/191

166CDSACDCDCDチャイコフスキー:マンフレッド交響曲/ユロフスキ&ロンドン・フィル月の光~リサイタル・ピース第1集/反田恭平ヴァイオリン愛想曲集/若林 暢バリエーション/今川映美子チャイコフスキー:マンフレッド交響曲ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団シューベルト:4つの即興曲op.90/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ/ドビュッシー:喜びの島、月の光/シューマン(リスト編):献呈/ショパン:別れの曲反田恭平(ピアノ)クライスラー:美しきロスマリン、中国の太鼓/ファリャ(コハンスキ編):スペイン民謡組曲/バルトーク(セーケイ編):ルーマニア民俗舞曲/サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 他若林 暢(ヴァイオリン)アルバート・ロト、江口 玲(以上ピアノ)ラモー:ガヴォットと6つのドゥーブル/C.シューマン:ロベルト・シューマンの主題による変奏曲/モンポウ:3つの変奏曲/シャミナード:主題と変奏/フランク(バウアー編):前奏曲、フーガと変奏曲/フォーレ:主題と変奏 他今川映美子(ピアノ)収録:2004年12月、ロンドン(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25937 ¥2000+税日本コロムビアCOCQ-85364 ¥3000+税G-Tone(ソニー・ミュージックダイレクト)MHCC-30005 ¥2500+税コジマ録音ALCD-7215 ¥2800+税マンフレッド交響曲はユロフスキの得意曲だそうだが、なるほど、曲に対する共感が全篇にたぎっている。聴き手をダイナミズムで揺さぶる第1楽章にはじまって、アルプスの妖精を描いた第2楽章ではバレエ音楽を思わせる可憐なメロディが耳に残る。フィナーレは弦が胸を抉るような深い表情をみせた後、怒涛のフーガが遮るものをばたばたとなぎ倒すように進んでいく。オルガンが登場するラストも神々しい。ライヴならではの勢いがあり、迫力満点。ロンドン・フィルの首席客演指揮者になった翌年の録音というから驚いてしまう。評価が今一つの曲だが、こういう演奏に接するともっと聴かれてよいと思う。 (江藤光紀)パワフルに聴衆を魅了し続けている反田恭平。新譜「リサイタル・ピース第1集」は“LIVEとの融合”を目指した新機軸。この7月から開始しているツアーの「予習」ができる内容で、ファンからのアンケート結果を反映したプログラムⅠと、反田自身が取り組みたい曲目のプログラムⅡから抜粋している。シューベルトの「4つの即興曲」やドビュッシーの「喜びの島」は反田の強靭なタッチが光り、弱音の美が極まる「月の光」とのコントラストに心震える。律動の妙に富むシューマン=リストの「献呈」は、LIVEの感動を強く予感させる仕上がりだ。         (飯田有抄)早くから将来を嘱望され、世界的な登竜門で実績を重ねて、国際的キャリアを築きながらも、両親の介護に追われた末、自らもがんに蝕まれ、昨年6月に58歳でこの世を去った若林暢。当盤は、遺されたライヴ録音から、彼女が愛奏した小品を軸に構成された。冒頭の「美しきロスマリン」の第1音から、奏でる喜びが迸るかのよう。そして、深い洞察を下支えする、確かな技巧。もはや、我々は若林の生の音楽に触れることはできない。なのに今、確かに、彼女が音楽へ託した様々な感情を体感している。そう、ここには、不世出のヴァイオリニストの“永遠の魂”が封じ込められているのだ。 (寺西 肇)今川映美子の送り出すアルバムは、いつも聴き手の期待値をじんわりと超えていく。新譜「バリエーション」も然り。昨年の演奏会「パリゆかりの作曲家たち Vol.Ⅱ」の曲目をベースとし、ラモーの「ガヴォットと6つのドゥーブル」やフランク「前奏曲、フーガと変奏曲」など7名の作曲家の変奏曲を集めた。作曲者の音楽的センスと技術とが露わになるこの形式から、今川はつぶさに色彩変化を掬い上げ、充実した解釈を音にする。妖艶なモンポウや品良くきらめくシャミナードの小品から、フォーレの大作バリエーションまで、変奏曲の多彩さにも驚かされる一枚。    (飯田有抄)

元のページ  ../index.html#159

このブックを見る