eぶらあぼ2017.7月号
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76ジャン・ワン(チェロ) & 小山実稚恵(ピアノ)日中を代表する奏者のデュオが実現!文:林 昌英7/13(木)19:00 紀尾井ホール問 アスペン03-5467-0081 http://www.aspen.jp/ 10代のころから神童として世界の檜舞台で演奏活動を開始し、以来トップ・チェリストとして第一線で活躍し続けているジャン・ワン。早くから世界的巨匠たちと組んだCDも数多くリリースされ、その実力は広く知られているところ。現在40代後半で、巨匠への道を歩み続ける彼が、この7月、ピアノの小山実稚恵とデュオ・リサイタルを開催する。円熟の境地ともいうべき演奏を聴かせ続けている小山とワン、日中の代表的奏者による共演ということで注目を集めている。 そしてこの公演、プログラムがなかなかすごい。古典チェロ音楽の金字塔であるベートーヴェンの第3番、ブラームスの仄暗い哀感が凝縮された第1番、ロシアの情熱と旋律美にあふれたラフマニノフの大作。いずれも「これぞチェロ・ソナタの代表作」と称えられるような重量級ソナタが3曲並ぶわけで、その意気込みは推して知るべし。チェロという楽器の真髄を、ワンの名技が存分に知らしめてくれるだろう。また、ピアノにとっても、チェロに匹敵する重要な役割と難度が要求される曲ばかりで、小山はまさに理想的な奏者だ。しかもラフマニノフは、彼女が特別な思いで取り組み続けている作曲家であり、今回は世界最高クラスのチェリストを得て「小山のラフマニノフ」を体験できるという観点からも期待されよう。 このふたりならば、火花散るスリリングな展開も、心震わせる深い感動も、あらゆる表現が可能であり、予想がつかない。稀有にして必聴の一夜となる。小山実稚恵 ©ND CHOW2017 大和田夏祭りSHIBUYA 今夏は、親子でウルトラマン・フィーバー!?文:藤本史昭布川俊樹 ウルトラマンジャズ・プロジェクト 8/5(土)18:00夏休みファミリーコンサート 栗コーダーカルテット 8/6(日)14:00 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール問 渋谷区文化総合センター大和田03-3464-3252 http://www.shibu-cul.jp/ 奇想天外、ジャンルレスな演し物で、今や渋谷の夏を彩るイベントの目玉となった感もある大和田夏祭りSHIBUYA。今年はなんと「ウルトラセブン放送開始50年」を記念して、ウルトラシリーズにちなんだコンサートが2日間にわたって行われる。 まず初日の公演は、ジャズ・ギタリストの布川俊樹が、1998年以来ライフワーク的に取り組んでいる「ウルトラマンジャズ・プロジェクト」。ひと言でいえば、ウルトラシリーズに登場する楽曲をジャズでやってしまうというものだが、その完成度がハンパない。日本を代表する凄腕ミュージシャンたちが歌い奏でるその音楽はどこからどう聴いてもジャズ、それも現代的でアーティスティックなジャズなのである。と同時にそこでは、楽曲本来の親しみやすさもまったく損なわれていない。大人も子どもも等し並み楽しめるコンサート、皆でウルトラマンに熱狂しようではないか。 続く第2日は、NHK Eテレの『ピタゴラスイッチ』でおなじみ、栗コーダーカルテットが登場。一見ゆる~い、しかし実は超絶的なテクニックとアレンジで、クラシックからロック、映画音楽まで自由自在に料理してしまうこのグループ、当然のことながらウルトラマン関連曲(ウルトラセブンの歌)もそのレパートリーに含まれておりコンサートでもたっぷり披露してくれる予定。ユニークでユーモラスで、聴けば笑顔になること請け合いのステージを、ぜひファミリーでお楽しみいただきたい。ジャン・ワン ©Xu Bin栗コーダーカルテット布川俊樹 ウルトラマンジャズ・プロジェクト

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