eぶらあぼ2017.7月号
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30 レナード・バーンスタイン(1918〜1990)の生誕100年を記念して、ブロードウェイ・ミュージカルの永遠の名作『ウエスト・サイド・ストーリー』が今夏、開業5周年を迎える東急シアターオーブにやってくる。 アメリカ人初のニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団(現ニューヨーク・フィルハーモニック)の音楽監督として精力的に指揮活動する一方で、作曲の分野でも活躍したバーンスタイン。オペラやバレエ曲、交響曲、そしてミュージカルなど数々の作品を残しているが、なかでもとりわけ愛され続けているのが、1957年に初演され、61年に映画化もされたこの『ウエスト・サイド・ストーリー』だろう。美しいデュエット及び五重唱が聴ける〈トゥナイト〉。愛する者の名を繰り返し口ずさむ、それがそのまま歌になったかのような〈マリア〉。プエルトリコ系ガールズがお国訛りもキュートに楽しい掛け合いを繰り広げる〈アメリカ〉。指を鳴らす仕草も印象的な〈クール〉。体育館でのダンス・パーティで流れる〈ブルース〉〈マンボ〉〈チャチャ〉。そして、いつか人々が手を取り合い、静かに平和に暮らせる日々がやって来るとの願いを歌い上げる〈サムウェア〉――。作品にふれたことがない人でも一度はどこかで聴いたことがあり、そして一度聴いたら耳から離れない美しいメロディの数々は、世界中の人々を虜にしている。難度の高いナンバーが含まれていることでも知られており、そのいくつかはミュージカル歌手のみならずオペラ歌手で取り上げる者も多い。今回日本を訪れるプロダクションはヨーロッパのミュージカル劇場及バーンスタインの最高傑作がやってくる!文:藤本真由びオペラハウスも回るワールドツアーであり、キャストの歌唱力にも大いに期待できそうだ。 このミュージカルをシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』から着想し、オリジナル版の演出・振付も手がけたのがジェローム・ロビンス。ブロードウェイ・ミュージカル及びニューヨーク・シティ・バレエで振付家・演出家として活躍したロビンスの振付も、永遠の輝きを失わない傑作だ。映画版のポスターなどであまりに有名な男性ダンサーたちの脚上げポーズや、ダンス・パーティでのエネルギッシュな踊り、そして〈サムウェア〉のシーンの幻想的なダンスなど、迫力ある振付が次々と展開されてゆく。今回のプロダクションの演出・振付を手がけるジョーイ・マクニーリーは、もともとダンサー出身で、ロビンスの薫陶を受けた経験も。劇団四季でこの作品が上演された際にも演出を担当している。『ウエスト・サイド・ストーリー』の魂を受け継ぐ人材として、名作の舵取りを任されている彼のこと、21世紀を生きる我々の心に響く舞台を届けてくれることだろう。1950年代のニューヨーク、異なる民族的バックグラウンドをもつ不良グループ同士の対立、その間に咲いた、トニーとマリアの一途な恋――。人生で一度は生の舞台で観ておきたいミュージカルの最高傑作、いよいよ開幕である。レナード・バーンスタイン生誕100年記念ワールドツアーブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』7/12(水)~7/30(日) 東急シアターオーブ問 Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999http://theatre-orb.com/©nilz boehme©nilz boehmeレナード・バーンスタイン

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