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66平林 龍(バリトン)極上の“フレンチ・メロディ”を再び文:東端哲也ユリシーズ弦楽四重奏団ニューヨークからやってくる最先端のサウンド文:林 昌英オール・アメリカン・プログラム(ディスカッション付き) 6/11(日)15:00スペシャル・コンサート with フレンズ 6/17(土)14:00神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-kenminhall.com/ パリ・エコールノルマル音楽院で研鑽を積み、多彩な演奏活動を続けている若手バリトン歌手の平林龍。 昨年12月には、フランス近代音楽を代表するフォーレの歌曲を、より高度な完成の域へと導いた「象徴派」の詩人ポール・ヴェルレーヌのテキストによる作品を全て収録したCD(2015年にHakuju Hallで行われた公演のライヴ録音)をリリースし好評を博した彼が、この7月にヤマハホールで再び“フレンチ・メロディ”ファン注目のリサイタルを開催する。 プログラムはフォーレがヴェルレーヌに続いて大きな関心を寄せたベルギー象徴派詩人ヴァン・レルベルグの連作歌曲「閉じられた庭」や、同派のフランス詩人アルベール・サマンによるデリケートな美しさを放つ歌曲群で幕開け。フォーレより17歳下ながら巨匠のテキストに目を付けたのは先輩よりも先だったドビュッシーが遺したヴェル 近年は世界中で若手中心の優秀かつ個性的な弦楽四重奏団が続々とあらわれており、常に演奏スタイルがアップデートされる刺激的なジャンルとなっている。この6月、神奈川芸術文化財団芸術総監督の一柳慧がプロデュースする公演では、そういった新進団体の最先端と目される、アメリカのユリシーズ弦楽四重奏団が紹介される。 同団の結成は2015年夏。活動歴はまだ浅いものの、アグレッシヴで濃密な演奏を武器に、翌16年にはインディアナ州で開催されたフィショフ室内楽コンクールでグランプリと金メダルを同時受賞と、早くもその実力が認められている。一柳は「最近の若い演奏家は、作品に対して新しい意識や姿勢でのぞみ、より自覚をもった自らの表現を大切に演奏しています。今回ニューヨークから来日するユリシーズ弦楽四重奏団も、音楽の内容への自主的・能動的なかかわりを重視し、聴く者に新レーヌの詩による「3つの歌曲」、そして円熟期に書かれた15世紀フランス古典最大の詩人フランソワ・ヴィヨンのバラード3篇に作曲された佳曲と続く。後半はパリのエスプリ薫るプーランクによる室内楽伴奏付き声楽作品の世界へ。1932年発表の世俗カンタータ「仮面舞踏会」は現代詩の先駆者であるマックス・ジャコブのテキストによるユーモラスな作品。締めは20世紀オペラの道を切り拓いたドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》より。共演はピアノの沢木良子とソプラノの原田幸子(メリザンド役)ら。ちなみに公演日は何と「パリ祭」(フランスの建国記念日)の翌日だ!鮮な聴取体験を与えてくれます」との旨コメントしている。 今回2公演が行われるが、『オール・アメリカン・プログラム』では、ライヒの名作にして問題作「ディファレント・トレインズ」をメインに4人の実力を披露。『スペシャル・コンサート with フレンズ』の日には、ヴィオラ奏者・指揮者としてアメリカで長く活動している大山平一郎が加わってのベートーヴェンに、一柳の信頼も厚い名ピアニスト飯野明日香とのショスタコーヴィチと、日本の名手との融合で新たな境地を聴かせる。「美しい日本の文化に触れ、素晴らしい聴衆の皆様と出会えることを楽しみにしています」と第1ヴァイオリンのクリスティーナ・ブーイは思いを語る。©Shigeto Imura7/15(土)13:30 ヤマハホール問 ヴァンクール音楽院03-3796-3021http://ryuhirabayashi.com/CD『平林 龍バリトンリサイ タル~フォーレとヴェル レーヌ~』RH01¥2000(税込)

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