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44中嶋朋子が誘う 音楽劇紀行第三夜 ロマン派オペラⅠ~イタリア・オペラ6/14(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp/森谷真理(ソプラノ)大好きなセミラーミデのアリアを歌えるのが嬉しいです!取材・文:宮本 明Interview 2006年、METの夜の女王でセンセーショナルな成功を収めた森谷真理。14年秋にはびわ湖ホール《リゴレット》で初凱旋し、すでに日本のオペラ上演でも欠かせないプリマとなっている。6月にはHakuju Hallの『中嶋朋子が誘う 音楽劇紀行』に出演。 「再びこのシリーズに出演することができ、うれしいです。西洋の音楽がいかに劇の要素とともに変化してきたか、非常にわかりやすくプロデュースされている企画ですね。オペラはまず劇ありき、と私は思っています。台本に作曲家が音楽をつけているのが普通の演劇との大きな違い。そこに作曲家の解釈が入ってくるわけですね」 『音楽劇紀行』は女優・中嶋朋子が音楽劇の歴史に誘う、エンタテインメント仕立ての全6回シリーズ(年2回開催)。演出家・田尾下哲が総合プロデューサー、作曲家・加藤昌則が音楽監督を務める。毎回バロック・オペラからミュージカルまでを通史的に紹介し、さらに各回ごとにテーマを設けて特定の時代をクローズアップする。シリーズ第3弾の今回はイタリア・オペラがテーマで、森谷はロッシーニ《セミラーミデ》のアリア〈麗しい光が〉ほかを歌う。 「セミラーミデのアリアは東京で歌うのは初めてですが、アメリカにいた頃から大好きでよく歌っていました。今回歌う中では特にアジリタ(音階などの俊敏なパッセージ)の要素の強いアリアです」 昨年のシリーズ初回にも出演。《トロヴァトーレ》や《タイス》のアリアを歌った。 「実はあれがきっかけで、今年5月の三河市民オペラ《トロヴァトーレ》のレオノーラ役が決まりました。ですから私にとって、この『音楽劇紀行』はすごくラッキーなシリーズなのです。ちょうどこの数年間、レパートリーを少し変えているところで、レオノーラを歌えたことはとても大きいです。今年はほかにも、びわ湖ホールの《ラインの黄金》のフライア、東京二期会では、7月の《ばらの騎士》の元帥夫人、10月の《蝶々夫人》と、初役ばかり。レオノーラや蝶々夫人は当面の目標だった役で、年齢的にも経験的にもそろそろ大丈夫と思っての挑戦。私にとって大切な一年になっています。ぜひ全部観ていただだければと思います」 前回の出演では少しばかりの心残りもあったそう。 「中嶋朋子さんと舞台上で関わる場面がなかったのが残念で…。今回に期待してます(笑)。彼女は独特の存在感があって素敵な方。立つだけで舞台の空気が引き締まる感じがします」 現在はウィーン在住。海外での活発な活動の合間を縫うように帰国してステージに立ってくれるのは頼もしい限り。けっして聴き逃せない!6/18(日)14:00 日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)6/22(木)19:00 浜離宮朝日ホール問 仙台市市民文化事業団コンクール推進課022-727-1872 http://simc.jp/キム・ヒョンジュン(ピアノ) 第6回仙台国際音楽コンクール優勝記念演奏会“歌心”が発揮されるプログラムに期待文:高坂はる香 昨年の仙台国際音楽コンクールピアノ部門で頂点に輝いたキム・ヒョンジュンは、韓国国立芸術大学で学んだのち、現在アメリカのピーボディ音楽院で学ぶ26歳。コンクールでは、小柄な身体から繰り出す生命力あふれる音が強い印象を残した。あれから1年、改めてその実力を仙台と東京でのリサイタルで披露する。 演目は、いずれもコンクール時とは異なるもの。冒頭を飾るのはモーツァルトのソナタ第2番。シューマンの「謝肉祭」に続くプロコフィエフのソナタ第2番では、彼女のはじけるような音とリズム感が存分に生かされるだろう。そして最後に置かれているのは、ショパンのソナタ第3番。作品をこう表現したいという想いをストレートに伝える演奏が魅力の彼女のこと、このロマン派のソナタの傑作も、独自の感性で伸びやかに描きあげてくれそうだ。 仙台の聴衆にとってはその成長ぶりを確認し、また東京の聴衆はその音を生で確かめる初めての機会となる。彼女の歌心が発揮されるプログラムに期待したい。

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