eぶらあぼ2017.5月号
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31ハーモニーホール天井に反射した間接音も豊かであり、それが音楽にさらに奥行きをもたらしてくれる。このライヴな響きは、1階席の周囲の壁面が木材であるのに対し、2階席(ホール上部)にFGボード(セメント板の一種)素材を採用しているためだろう。それがヨーロッパの大聖堂内における響きに似た、二層となる音響空間を作り上げているという。1階席にも響きをコントロールする工夫が施されており、特に客席前方部分の左右壁面にはスリットを入れるなど、実に繊細なアイデアが取り入れられている。しかもそれが、和のデザインを感じさせてくれているのもいい。視覚的にもホール全体が上下のツートンカラー(ダークブラウンとオフホワイト)に仕上がっているので、不思議な重厚感と落ち着いた雰囲気をかもし出しているといえるだろう。ほかにも、ピアノを備え充実した機能の「スタジオ」が5つも併設され、さらに明るいロビーやホワイエの作り方も魅力的だ。 さて、ステージで演奏を行った御喜美江は「楽器の音そのものが自然に、そして色彩的に広がっていくという印象を受けました。これまでにもいろいろなホールで開館前に演奏しましたが、どこであっても響きが似ている別のホールがあるのです。でも浦安音楽ホールは、どこにも似ていない独特なキャラクターをすでにもっていて新鮮ですね。私にとって良いホールとは、いつまでも弾き続けていたくなる場所なのですが、ここはまさにそうした空間です」と絶賛。一流の音楽家たちによる演奏がはたしてどう響くのか、楽しみなホールである。コンサートホールスタジオ A問 浦安音楽ホール047-382-30352017/18シーズンラインナップなど公演の詳細については、下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.urayasu-concerthall.jp/ 写真4点とも:©SATOSHI ASAKAWA

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