eぶらあぼ2017.5月号
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200質の高い音楽を生で楽しむライフスタイルを提案する「小金井音楽談話室」の第13弾は、「中世イタリアとフランスの宮廷舞曲」。スイス出身のコリーナ・マルティと西山まりえ、2人の古楽の名手を迎え、チェンバロの原型のクラヴィシンバルムや、小型オルガンのオルガネット、中世ゴシックハープ、リコーダーなど多彩な楽器で、英国図書館など各地に残された写本から、マショーらによる魅力的な調べが蘇る。小川里美は東京音大・同大学院からザルツブルクやミラノに学び、国内外で活躍する実力派ソプラノ。より幅広いレパートリーに対応するため、2005年にメゾから声種を変更したという異色の経歴を持つ。今回は、指揮者としても活躍する佐藤正浩がピアノで共演。音楽評論家の岡部真一郎の案内で、木下牧子、プーランクの歌曲から、ビゼーやヴェルディ、ベッリーニなどオペラの名アリアまで、じっくりと聴かせる。独特の味わいを持つマリンバ音楽が、古くから文化として根付くメキシコ。南東部に位置するチアパスは、メキシカン・マリンバ発祥の地とされる。古徳景子は、同地に学んだ国際派奏者。彼女の日本での師で、やはり国際的に活躍する梅津千恵子、メキシコからアレクサンダー・クルズ、ベースのルイス・アキーノ、ドラマーのレニン・カマチョも加わり、ラテンや日本の旋律など、丁々発止のセッションで叩き尽くす。ピアニストのエミィ轟シュワルツは、日本を拠点に、アメリカやスペインでも活動を展開する実力派。高校卒業後に渡米し、テキサス大学オースティン校を経て、ニューヨーク大学ピアノ演奏科修士課程を首席で修了した。今回のリサイタルは、ショパンのソナタ第2番「葬送」やポロネーズ第5番、シューマン「子供の情景」を軸に。ブラームスの小品集(作品118&119)から各2曲など、ロマン派の佳品を散りばめる。聴く者を一瞬で虜にする芳香に満ちた歌い回しで、若くして“鬼才”とも称されるヴァイオリニスト、佐藤久成。今回は、ロシア出身の国際派チェリスト、ドミトリー・フェイギンと、パリ仕込みの抒情性を武器とするピアニストの佐野隆哉、2人の盟友を迎えて。ハイドンの第25番「ジプシー」、アレンスキーの第1番、チャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出」と、3つのピアノ三重奏曲の傑作に対峙する。「この作品は、ピアノ音楽の書法で書かれた『マタイ受難曲』ではないか」。ピアニストのスティーヴン・オズボーンは、メシアンの傑作「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」を、こう評する。クララ・ハスキル・コンクールを制し、高名なロンドン・ウィグモアホールでのピアノシリーズの常連でもある、スコットランド出身の俊英。思い入れ深い作品を携えての、ヤマハホール初登場に「心から楽しみ」と語る。月の5第13回小金井音楽談話室 騎士と貴婦人西山まりえ&コリーナ・マルティ第164回サンシティクラシック・ティータイムコンサート 小川里美(ソプラノ)エミィ轟シュワルツ(ピアノ)佐藤久成と仲間たち トリオ・コンサート佐藤久成&ドミトリー・フェイギン&佐野隆哉スティーヴン・オズボーン(ピアノ)Le monde de Messiaen「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」梅津千恵子プロデュース パーカッション メッセージvol.3 メキシコの響き5/10(水)19:00小金井 宮地楽器ホール(小)5/13(土)14:00サンシティホール(小)5/11(木)19:00すみだトリフォニーホール(小)5/11(木)19:00東京文化会館(小)5/18(木)19:00ヤマハホール5/12(金)19:00アミュゼ柏クリスタルホール文:笹田和人 ©Kei Uesugi ©Ben Ealovegaコリーナ・マルティ西山まりえ梅津千恵子古徳景子佐藤久成

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