eぶらあぼ2017.5月号
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170■小菅 優が第48回サントリー音楽賞を受賞 ピアニストの小菅優が第48回(2016年度)サントリー音楽賞を受賞した。同賞は公益財団法人サントリー芸術財団が1969年の設立以来、わが国における洋楽の振興を目的として、毎年、その前年度においてわが国の洋楽文化の発展に最も顕著な功績のあった個人、または団体に顕彰するもの。 小菅は、東京生まれ。9歳より演奏活動を開始し、2005年カーネギー・ホールで、翌06年にはザルツブルク音楽祭でそれぞれリサイタル・デビュー。10年ザルツブルク音楽祭で、ポゴレリチの代役を務めた。ドミトリエフ、デュトワ、小澤征爾等の指揮でベルリン響、フランクフルト放送響、シュトゥットガルト放送響等と共演。これまでに第13回新日鉄音楽賞、04年アメリカ・ワシントン賞、第8回ホテルオークラ音楽賞、第17回出光音楽賞を受賞。14年、第64回芸術選奨音楽部門 文部科学大臣新人賞受賞。◎贈賞理由:技術と音楽性を備える卓抜したソリストとして、協奏曲の独奏やリサイタル活動などで実績を積み上げてきた。近年は歌曲や室内楽におけるアンサンブル奏者としても国内外で活動の幅を広げ、ますます成果を上げている。正統的なレパートリーを活動の基盤に守りながら、同時代作品の演奏に求められる共感と技術を高次元で併せ持つ、稀有な存在でもある。16年度のリンドベルイ「ピアノ協奏曲第2番」の独奏は、高い集中力と自在な技術及び、作品理解への真摯な姿勢を兼ね備えたものとして特筆に価する。サントリー芸術財団 http://www.suntory.co.jp/sfa/music/■第16回佐治敬三賞に伶楽舎 第16回(2016年度)佐治敬三賞が「伶楽舎第十三回雅楽演奏会〜武満徹『秋庭歌一具』(2016年11月30日 東京オペラシティ コンサートホール)」に決定した。同賞は、わが国で実施された音楽を主体とする公演の中からチャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈られるもので、2001年度(平成13年度)に公益財団法人サントリー芸術財団により制定された。 伶楽舎は、雅楽の合奏研究を目的に1985年に発足した雅楽演奏グループ。音楽監督は芝祐靖。発足以来、現行の雅楽古典曲以外に、廃絶曲の復曲や正倉院楽器の復元演奏、現代作品の演奏にも積極的に取り組み、国内外で幅広い活動を展開している。 公演では芝が復曲・構成を手がけた「露台乱舞」と武満徹の「秋庭歌一具」が上演され、特に「秋庭歌一具」では、勅使川原三郎・佐東利穂子のダンスとの共演で聴かせるというアイディアで、彼ら独特の軟体的なダンスが音楽の中に入り込み、一種の楽器のように機能、本年度において出色の充実度を誇るものと評された。 若々しい挑戦の意欲に満ちた同公演は、佐治敬三賞の精神を見事に体現するものであり、審査員一致で贈賞が決定した。サントリー芸術財団http://www.suntory.co.jp/sfa/music/■第9回大阪国際室内楽コンクール& フェスタが開催 国際音楽コンクール世界連盟に加盟する「大阪国際室内楽コンクール」(3年ごとに開催)が5月13日から大阪・いずみホールで開催される。去る3月8日、開催記者会見が行われた。 今大会は、第1部門の弦楽四重奏に加え第2部門として管楽アンサンブル(木管五重奏、サクソフォン四重奏、金管五重奏)が審査対象となる。世界21ヵ国・地域から92団体(第1部門:21団体、第2部門:71団体)の応募があり予備審査を通過した20団体が1次予選に参加する。今回から3次予選が加えられたが、これについて堤剛審査委員長は次のように述べた。 「全世界的に室内楽の活動が盛んになってきており、優れた演奏団体が誕生するなど、関心が高くなっている。できるだけ多くの団体に多くのレパートリーを披露してもらい、それぞれの団体のもつ魅力を存分に発揮してもらいたいという思いもある」 コンクールと同時開催で、年齢制限や課題曲がな©Marco Borggreve記者会見から 前列左より)梅本俊和(大阪国際室内楽コンクール&フェスタ顧問)、森 詳介(同会長)、堤 剛(同審査委員長) 後列左より)牧野立太(同運営委員長)、望月規夫(同副会長) Photo:M.Terashi/Tokyo MDE©ジェレミ・ステラ 写真提供:サントリー芸術財団

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