eぶらあぼ 2017.3月号
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ウルフ・シルマーUlf Schirmer/指揮特別インタビュー ウィーン国立歌劇場等で活躍し、現在ライプツィヒ歌劇場の音楽監督兼総監督を務めるウルフ・シルマー。ドイツ音楽の正統的な継承者たるこの名匠が、「東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.4」に登場し、東京都交響楽団を指揮してオール・シューベルト・プログラムを披露する。 東京春祭への出演は、2010年の《パルジファル》以来2度目となる。「日本には何度も来ていましたが、桜が満開の時に訪れたのは前回が初めてです。上野公園を家族と歩いて、屋台で色々買ったりもしましたし、復活祭前の《パルジファル》に即した時期と相まって、印象深い公演でした」 今回の公演には、日本で生演奏を聴く機会の少ない作品が並んでいる。「皆さんのイメージとは違った観点からシューベルトを紹介したいと考えました。最初の『水上の精霊の歌』では、彼が当時の詩や哲学と深く関わっていたことを知っていただきたい。ゲーテのテキストを用いたこの曲は、とても内面的な作品です。男声合唱と5人の弦楽器によって演奏されるという極端な編成にも内面性が表れていますね。次の『6つのドイツ舞曲』では、ダンス=肉体的な面が表現されますが、さらに近代のウェーベルンによる編曲が、過去を振り返るような効果をもたら

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