eぶらあぼ 2017.3月号
67/199

64レイ・チェン 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル若き名手が再びバッハに挑む文:片桐卓也第11回 オーケストラの日2017“オーケストラの楽しさ”をもっと身近に文:宮本 明9/30(土)18:30 サントリーホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/無料イベント3/31(金)11:00~ 文京シビックホール(コンサートホール/小ホール) 、区民ひろば(文京シビックセンター内)コンサート3/31(金)15:00 文京シビックホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275 http://www.orchestra.or.jp/ レイ・チェンの名前を私たちが知ったのは、2009年のエリザベート王妃国際音楽コンクール(ブリュッセル)で優勝した時だったと思う。しかし、それ以前から彼はメニューイン・ヴァイオリン・コンクールで優勝し、あのマキシム・ヴェンゲーロフに認められて活躍を開始するなど、すでに国際的なキャリアを築いていた。 1989年台湾生まれ。4歳の時に鈴木メソッドでヴァイオリンを始め、移住したオーストラリアで8歳にしてオーケストラと共演。2005年にはアメリカのカーティス音楽院に入学し、アーロン・ロザンドの元で研鑽を積んだ。エリザベート王妃国際コンクールで優勝したのはまだ20歳の時だったのである。 10年に来日した時の演奏会はいずれも絶賛されたが、翌11年の6月にトッパンホールでJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン曲の全曲演奏を行い、その評 まず知っておいてほしいのが、3月31日が「オーケストラの日」だということ。「ミミにイチばん」の語呂合わせで、日本オーケストラ連盟が2006年に決定した。同連盟は日本のプロ・オーケストラが参加する公益法人で、現在の加盟数は全国34楽団。毎年3月31日には全国各地域でそれぞれに趣向を凝らしたイベントが開催されている。 今年、東京では首都圏12楽団が合同で、11時からの無料イベントと、15時からの特別編成の「オーケストラの日祝祭管弦楽団」によるコンサート(有料)を行なう。無料イベントは、楽器体験や0歳から入場可能なミニ・コンサート、バックステージツアー(要事前申込)や公開リハーサル(4歳以上)など賑やか。 コンサートは現田茂夫指揮。曲目はシベリウスの交響詩「フィンランディア」とヴァイオリン協奏曲、ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲(1919年版)。協奏曲の独奏は2001年第1回仙台国際音楽コンクールの優勝者で、フランス価をさらに高いものにした。そして今年、再びバッハの無伴奏曲全曲の演奏会を行う。会場はサントリーホール(大ホール)。ちなみにサントリーホールは2月上旬から8月一杯は改修のために休館しているので、レイ・チェンのコンサートが行われる9月には改修後の新しい響きも味わうことができるだろう。 素晴らしいテクニックの持ち主であるレイ・チェンだが、それに溺れること無く、音楽的な観察力を研ぎすませ、立体的な音楽の世界を展開して見せてくれる。見事な構築力を感じさせる彼のバッハを聴くのが楽しみである。国立放送フィル・コンサートマスターのスヴェトリン・ルセフだ。参加12楽団は、N響、神奈川フィル、新日本フィル、千葉響、東響、東京シティ・フィル、都響、東京ニューシティ管、東京フィル、東京ユニバーサル・フィル、日本フィル、読響。 また、ボランティア・スタッフも募集しているので、運営に興味のある方は体験のチャンスだ。ボランティアなので無償だが、参加オーケストラからのチケット・プレゼントがある。左より:現田茂夫 ©K.Miura/スヴェトリン・ルセフ ©Eric Manas/昨年の模様

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る