eぶらあぼ 2017.1月号
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43トッパンホール ニューイヤーコンサート新年の幕開けに室内楽の傑作はいかが?文:飯尾洋一有田正広(指揮) クラシカル・プレイヤーズ東京ベートーヴェンの初期のシンフォニーはかくも刺激的!文:千葉さとし2017.1/10(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/2017.3/5(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp/ 年が明けると「ニューイヤーコンサート」と題された公演が各地で盛んに開かれる。それぞれプログラムは多彩だ。ウィンナ・ワルツなど気軽な曲目を並べる正統派も悪くないが、まったくの独自路線による「ニューイヤーコンサート」で異彩を放っているのがトッパンホールの公演。日下紗矢子のヴァイオリン、クレメンス・ハーゲンのチェロ、河村尚子のピアノという同ホールゆかりの超強力メンバーを集めて、ベートーヴェン、コダーイ、シューベルトの3曲が演奏される。といってもピアノ・トリオはシューベルトだけ。ベートーヴェンはチェロとピアノ、コダーイはヴァイオリンとチェロのためのデュオで、3曲とも編成が異なるのがおもしろい。 1曲目に演奏されるベートーヴェンのチェロ・ソナタ第2番は「op.5-2」という作品番号が示すように初期の作品だが、古典派ソナタの枠を打ち破ろうとする若き偉才の意欲作。続くコダーイ 日本でも古楽オーケストラが定着しつつある中で、ことコンサートレパートリーに最も積極的なのは有田正広率いるクラシカル・プレイヤーズ東京ではないだろうか。2009年から東京芸術劇場を舞台に活躍するこのオーケストラは、古典派からロマン派へとレパートリーを広げながら、堀米ゆず子や仲道郁代らモダン楽器で活躍する音楽家との共演にも取り組んでいる。作品の真価を問う過去への問いと、現代に生きる音楽家たちと創る未来をともに見据えた活動は真摯で刺激的なものだ。 今回の演奏会では、結成以来5作(3~5、7、8)を取り上げてきたベートーヴェンの交響曲から第1番と第2番を演奏する。「英雄」の存在が大きすぎるからだろうか、あまり演奏されない初期の2作だが、作曲された時代の楽器による演奏を聴けばベートーヴェンははじめから他の誰でもないベートーヴェンだった、とわかるはずだ。のヴァイオリンとチェロのための二重奏曲は豊かな民族色と独創性を感じさせる作品で、たった2つの弦楽器からこれほどスケールの大きな音楽表現が可能になるのかと唸らされるはず。メイン・プログラムに置かれたシューベルト そして交響曲の間に演奏されるモーツァルトのホルン協奏曲第4番は、ホルンの名手だった友人に挑むように書かれた、選ばれた名手のためのものだ。今回招かれたテウニス・ファン・デル・ズヴァルトは18世紀オーケストラなどでも活躍している現代を代表するナチュのピアノ三重奏曲第2番は、作曲者晩年の傑作。シューベルトならではの寂寞とした楽想が胸を打つ名曲だ。およそ“ニューイヤー”らしからぬ選曲なのだが、おせちに飽きた頃に本当に聴きたいのはこんなプログラムなのかも。ラルホルンの名手だから、まさに最適の人選だ。 モーツァルトもベートーヴェンも有田正広の指揮のもと作品そのものの姿を示すことだろう、そしてそれは古楽器演奏が古くない、いや新鮮な音楽であることを教えてくれるだろう。河村尚子 ©居坂浩文クレメンス・ハーゲン日下紗矢子 ©Kiyoaki Sasaharaテウニス・ファン・デル・ズヴァルト 有田正広 Photo:Hikaru★

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