eぶらあぼ 2017.1月号
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156CDSACDSACDCDラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 他/反田恭平華音/平尾祐紀子アルベニス:入江のざわめき スペイン・ピアノ名曲集/細川夏子チェロ・リサイタル Vol.9/山崎伸子&加藤洋之ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、パガニーニの主題による狂詩曲反田恭平(ピアノ)アンドレア・バッティストーニ(指揮)RAI国立交響楽団東京フィルハーモニー交響楽団ワトキンス:ファイヤー・ダンス/ドビュッシー:アラベスク第1番、亜麻色の髪の乙女/パッヘルベル:カノン/ヘンデル:パッサカリア/J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード、主よ人の望みの喜びよ/バダジェフスカ:乙女の祈り/山田耕筰:からたちの花/岡野貞一:ふるさと 他平尾祐紀子(ハープ)アルベニス:入江のざわめき、グラナダ、コルドバ、「スペイン」より「プレリュード」「タンゴ」「マラゲーニャ」/グラナドス:プレリュード、バスク地方の歌、「12のスペイン舞曲集」より「メヌエット」「アラベスカ」「オリエンタル」「アストゥリアーナ」細川夏子(ピアノ)シューマン:民謡風の5つの小品/ヤナーチェク:おとぎ話/ショパン:チェロ・ソナタ、夜想曲第20番(遺作)/シューマン:夕べの歌山崎伸子(チェロ)加藤洋之(ピアノ)収録:2015.9/11、東京オペラシティ(ライヴ) 他日本コロムビアCOGQ-97 ¥3000+税ソニー・ミュージックダイレクトMECO-1035 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3092 ¥3000+税収録:2015.11/20、浜離宮朝日ホール(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7824 ¥2700+税若手ピアニスト反田恭平のセカンド・アルバムはラフマニノフの人気曲を2曲、それも同世代の指揮者アンドレア・バッティストーニとの共演だ。ピアノ協奏曲第2番はトリノでのRAI国立響とのセッション、「パガニーニの主題による狂詩曲」は東京フィルとのライヴと、その違いは演奏からも聴き取れるだろう。激しさの中にも静けさを感じさせる協奏曲で内面のドラマを描き、奔放な狂詩曲で自らの技量を解放し、とそのどちらもが現在の反田の真骨頂だ。バッティストーニとの触発し合う関係も魅力的なこの盤は、2人の若き日を代表する一枚として長く愛されていくだろう。(千葉さとし)オランダ・マーストリヒト音楽院で学んだ平尾祐紀子のデビュー盤。グランド・ハープと膝において演奏ができる小型のサウルハープを駆使して、バッハやドビュッシー、山田耕筰など多様な作曲家の作品を演奏し、柔軟な音楽性、音色をアピールする。ドビュッシーの「アラベスク」やバダジェフスカ「乙女の祈り」など、ピアノを原曲とする作品では、精密な指さばきによって、細かな音型における和声の色彩変化を魅力的に描き出しており、「からたちの花」といった歌曲を原曲とする作品では、多彩な響きをコントロールしながら息の長い歌を聴かせてくれる。(長井進之介)パリ・エコール・ノルマル音楽院で故フランス・クリダに師事した細川夏子。幼少期からスペイン国民楽派の作品に魅了されてきたという彼女による、アルベニスとグラナドスの小品を集めたアルバム。淡く明るい色彩で描かれた絵画のような、アルベニス「入江のざわめき」、やわらかく音を混ぜ合わせる幻想的な表現から始まる「コルドバ」、エキゾティックな香り漂う「スペイン」で、繊細な感性を発揮。グラナドス「12のスペイン舞曲集」では、美しくどこか物憂げな雰囲気を丁寧な筆致で描き上げていく。スペイン風のメロディとリズムが上品に表現されている。(高坂はる香)「山崎伸子チェロ・シリーズ」第9回のライヴ録音で、民俗音楽を意識した作品を中心としたプログラム。明暗、緩急といった様々なコントラストに満ち溢れたシューマンの後期作品「民謡風の5つの小品」の演奏が特に魅力的だ。刻々と移り変わる楽想を、山崎は多彩な音色を駆使しながら音型同士の関連性をときほぐし、複雑に入り組んだ内容を明瞭化し聴き手に届けてくれる。ピアノの加藤も音色、強弱、歌い回しが非常に多彩。山崎の幅広い表現に柔軟に対応しながら、アクセントを効果的に利用して音楽の進行力を強め、演奏全体を引き締めている。(長井進之介)

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