eぶらあぼ 2016.12月号
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62柴田智子プロデュース アメリカンシアターシリーズ Vol.2NY(ニューヨーク),ジョージ・ガーシュインなクリスマス12/18(日)15:00 Hakuju Hall問 TSPI 03-3723-1723/タッシ・アーツ03-5272-1370http://www.tomokoshibata.com/柴田智子(ソプラノ)アメリカ音楽の魅力とNYの雰囲気をたっぷりと取材・文:東端哲也Interview ニューヨーク在住の経験も長く、アメリカ音楽の魅力を伝える第一人者であり、クラシカル・クロスオーバーの草分けとしても知られる練達のソプラノ、柴田智子。昨年、ブロードウェイ版「冬の旅」とも呼ばれるモーリー・イーストンの知られざる歌曲集「December Songs」をとりあげ、話題を集めたアメリカンシアターシリーズの第2弾が12月に開催される。今年のテーマは「NY(ニューヨーク),ジョージ・ガーシュインなクリスマス」だ。 「最近何かと暗いニュースが多いので、明るくてワクワクするようなプログラムにしたいと思いました。ガーシュインの曲はスタンダード・ナンバーとして不動の人気を誇っていますが、クラシックの声楽家が挑戦すると得てしてノリが悪く中途半端なものになってしまいがちです。今回はクラシックならではの編曲で、ジャズのアドリブとも違う、楽譜にのっとった上で崩すようなアプローチでゴージャスに歌い上げるのがねらいです。昨年と同様にピアノの内門卓也さんがオーケストラ伴奏を参考に、とてもインティメイトなアレンジに仕上げてくれました」 第1部は、ピアノ連弾による「ラプソディー・イン・ブルー」で華やかに幕を開け、有名な「アイ・ガット・ア・リズム」や「エンブラシーブル・ユー」などから通好みの「ラヴ・ウォークト・イン」まで、名ナンバーが綺羅星のように並ぶ。 「原語の持つ響きやリズムにこだわりつつ、歌詞の内容も味わって欲しいから字幕を用意。スクリーンでは映像も流し、まるでNYにいるような雰囲気を楽しんでいただけるはずです」 第1部の目玉はオペラ《ポーギーとベス》の聴きどころを集めたハイライト。ここでは今年、大竹しのぶ主演の舞台『ピアフ』のイヴ・モンタン役で注目を浴び、劇団四季『ウェストサイド物語』全国公演のトニー役にも抜擢された気鋭の若手テノール、大田翔がゲスト出演する。 「オペラ界期待の新進歌手であり、幅広い分野で活躍中の大田さんのような若い才能との化学反応がとても楽しみです。今回、対照的な2人のキャラクターを巧みに歌い分ける彼にご期待下さい」 第2部では新旧クリスマス・ソングの名曲たちを披露。オープニングには今年のトニー賞を制し、現在もチケット入手が困難な空前のヒット上演を続けているヒップホップ・ミュージカル『ハミルトン』からのナンバーも用意されている。 「今でも年に数回は渡米して、たくさんのミュージカルをブロードウェイで観ています。ミュージカルの伝統がガーシュインの時代から21世紀最先端の作品にも受け継がれていることを若い世代にも知って貰えたら嬉しいですね。会場で皆さんをお待ちしています」2017.1/5(木)14:00 東京文化会館(小)問 プランニングオフィスネイチャ045-433-6274 http://www.u1.sokei.co.jp/Sound of the Sky 早川りさこ(ハープ)& 植草ひろみ(チェロ)阿吽の呼吸が醸し出す温かな雰囲気文:笹田和人植草ひろみ早川りさこ サン=サーンス「白鳥」、ショパン「ノクターン」(op.9-2)といったクラシックのスタンダードからピアソラのタンゴ、さらにアンドレ・ギャニオン「明日」まで。プログラムだけを見れば、いわゆる名曲コンサートと思われるかもしれない。しかし、ハープの早川りさこは東京芸大に学び、国際的な登竜門で実績を残し、数々の現代作品の本邦初演を手掛けた本格派。そして、チェロの植草ひろみも、やはり東京芸大を卒業し、10年にわたって新日本フィルに在籍後、一線のソリストとして活躍する一方、ラジオでレギュラー番組も持つ多才の実力派。幼少から互いを知り、共に高め合い、先鋭的な活動にも身を投じた彼女たちが形作った“理想郷“こそ、今回の公演『Sound of the Sky』だ。 親しみ易い旋律の微妙な色彩の違いを余さず掬い取る一方、時に音の擦れといった雑味すら、大胆に表現へ採り込む。何より、ぴたりと寄り添う阿吽の呼吸が醸し出す温かな雰囲気は、この2人なればこそ。楽しいトークも相まって、「新年を盛り上げちゃいます!」と意気込んでいる。

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