eぶらあぼ 2016.12月号
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61デビューアルバム発売記念平尾祐紀子 ハープリサイタル12/5(月)14:00 19:00 近江楽堂(東京オペラシティ3F)12/15(木)18:30 金沢市アートホール問キャピタルヴィレッジ03-3478-9999http://harp.yukikohirao.com/CD『平尾祐紀子/華音 KANON』ソニー・ミュージックダイレクトMECO-1035(SACDハイブリッド盤)¥3000+税 11/23(水・祝)発売©ミューズエンターテインメント平尾祐紀子(ハープ)ハープのもつ多彩な魅力をもっと多くの人に伝えたい取材・文:宮本 明Interview 金沢出身のハープ奏者・平尾祐紀子がデビューCDをリリース。注目されるのは全16曲中4曲をグランドハープで、残りの12曲をサウルハープという小さな楽器で弾いていること。サウルハープは日本の青山ハープが製造している小型ハープで、音域は3オクターブ半(gからcまで25弦)。通常のグランドハープの11度上までカバーしている。基本の調弦は変ホ長調で、半音は糸巻き近くにあるレバーで操作する。弦はナイロン弦(グランドハープはガット弦)。 「小型ハープは各ハープ・メーカーがそれぞれ作っているのですが、サウルハープはキラキラした銀色の音。星が降ってくるような音色が特徴です。25弦しかないのに、表現力が豊かで多くの可能性を持った楽器です」 実際に楽器に触れた経験のある人は少ないサウルハープ。もっとその魅力を身近に感じてほしい、という。 「この楽器はグランドハープに比べたらずっと手頃な価格ですし、こういう小さな可愛い楽器もあることを知って親しみを持っていただけるように、CDには、どこかで聴いたことのある聴きやすい曲を選びました。バランスのいい選曲ができたと思います。パッヘルベルの『カノン』や、ドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』などの名曲のほか、ワトキンスの『ファイヤー・ダンス』などハープのオリジナル曲も入れました。収録順も、グランドハープの後でサウルハープを聴いて物足りないと感じられないように試行錯誤して、しっとり自然に終わっていけるアルバムになりました」 ハープは自分を映す鏡だという。 「弓でも爪でもなく指で直接弦を弾く楽器。自分の心が全部音に出る。だから奏者の性格も出てしまうんですけれども(笑)、一番感情が伝わる楽器です」 11歳からハープを弾き始めた。愛知県立芸大と大学院で学んだあと、オランダのマーストリヒト音楽院で長澤真澄に師事。 「長澤先生は世界で一番音色が美しいハーピスト。やっぱり人柄が音に出るんです(笑)。少しでも近づきたいですが、同じ人間にはなれないので、自分らしい音色で弾いて、それを喜んでいただける演奏家になりたい」 発売記念リサイタルを東京と金沢で。トークを交えて進めるのが彼女流だ。 「お客さんとコミュニケーションをとりながら弾くほうが好きですし、私がどういう人間かわかっていただいたほうが親しみを持ってもらえると思うので」 CDのブックレットには詳細な自己紹介も載っているので(ネコ派でなくイヌ派。掃除と洗濯が好き。好物は日本酒と寿司と金沢おでん…)、まずは熟読してパーソナリティを知ってから聴きに行ってほしい、チャーミングな人だ。12/7(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター  03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/パヴェル・ハース・クァルテット漲る生気で“弦の国”の新時代を担う文:柴田克彦©Marco Borggreve パヴェル・ハース・クァルテットは、間違いなく今もっとも聴くべき弦楽四重奏団の一つだ。20世紀チェコの悲劇の作曲家名を冠した彼らは、2004年からプラハを拠点に活動。05年に同分野の頂点の一角“パオロ・ボルチアーニ賞”国際弦楽四重奏コンクールで優勝後、世界各地でセンセーションを巻き起こし、グラモフォン誌の2011年度レコード・オブ・ザ・イヤーも獲得するなど、高い評価を得ている。その演奏は、ダイナミックで躍動感に溢れ、濃密かつ緻密で鮮度抜群。最強のアンサンブル力とエネルギーを併せもった驚異のグループである。今回の来日では、09年にいち早く公演を行ったトッパンホールに7年ぶりに登場。ペルト、バルトーク、スメタナという、各国の激動の中で筆をとった東欧作曲家の代表作を披露する。いずれも民族色と斬新さが交錯した、当クァルテットの持ち味がフルに発揮される音楽。中でもスメタナの「わが生涯より」は、自国の看板曲にして昨年鮮烈なCDを出した旬の演目だけに期待は大きい。ともかく万人必聴!

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