eぶらあぼ 2016.12月号
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47秋山和慶(指揮) 東京交響楽団矢代秋雄と20世紀フランスの名作を体感文:飯尾洋一鈴木雅明(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団バッハの第一人者が紡ぐベートーヴェンと新古典主義の傑作文:山田治生第648回 定期演奏会2017.1/14(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ 日本を代表する名匠、秋山和慶が桂冠指揮者を務める東京交響楽団とともに意欲的なプログラムを組んだ。 プログラムの中心に置かれたのは今年没後40年を迎えた矢代秋雄のピアノ協奏曲。八面六臂の活躍をくりひろげる名手、小菅優が独奏を務め、高度な技巧と表現力を要求される日本の名作に挑む。 この矢代秋雄作品をはさんで演奏されるのは、矢代ゆかりのふたりのフランス人作曲家の作品。ひとつは矢代が師事したメシアンの交響的瞑想「忘れられた捧げ物」。矢代は東京音楽学校(現・東京芸大)を経て1951年から56年にかけてパリ国立音楽院に留学している。もうひとつは、矢代が敬愛し、影響を受けたというフローラン・シュミット。代表作であるバレエ音楽「サロメの悲劇」が演奏される。「サロメの悲劇」は1907年にパリで上演された作品。後期ロマン派の流れをくむ バッハ・コレギウム・ジャパンを率いる鈴木雅明は近年最も国際的に活躍している日本人指揮者の一人といえるであろう。著名な古楽アンサンブルだけでなく、ニューヨーク・フィル、ボストン響、チューリヒ・トーンハレ管な濃密で色彩豊かなオーケストラの響きが、強烈な陶酔感をもたらす。 これら3曲のプログラムを一度に実演で聴けるのだから貴重な機会というほかない。フローラン・シュミットからど、世界のメジャー・オーケストラにも招かれている。国際的に注目されている鈴木が4年ぶりに東京シティ・フィルの定期演奏会に登場する。鈴木は、2006年にモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」を指揮して以来、東京シティ・フィルと共演を重ねている。なかでも10年のマーラーの交響曲第1番「巨人」、11年のマーラーの交響曲第5番、13年のマーラーの交響曲第4番は、特筆されるべき(意外とロマンティックな)演奏であった。 今回のプログラムは、ウェーベルンの「パッサメシアン、矢代秋雄へと至る20世紀音楽の流れを体感できるのではないだろうか。秋山和慶と好調が続く東響の名コンビのこと、作品の魅力を十全に引き出してくれるにちがいない。カリア」、ベートーヴェンの交響曲第4番、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」。メインのバルトーク作品は、20世紀のコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)ともいえる名曲。鈴木が東京シティ・フィルのメンバーたちとどんな合奏を繰り広げるのか楽しみだ。ベートーヴェンは鈴木が最近熱心に取り組んでいるレパートリー。同じ2月にはバッハ・コレギウム・ジャパンと「ミサ・ソレムニス」も演奏する。同じホールで、同じ指揮者のピリオド楽器とモダン楽器のベートーヴェンの聴き比べができるのも面白い。ウェーベルンが“作品1”をつけたバロック音楽を思わせるタイトルの野心作を鈴木がどう料理するのかも興味津々だ。小菅 優 ©Marco Borggreve第304回 定期演奏会2017.2/18(土) 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002http://www.cityphil.jp/秋山和慶鈴木雅明 ©Marco Borggreve

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