eぶらあぼ 2016.12月号
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156 鈴木は東京春祭について、「音楽祭というものが実際のインフラと一緒になった時に素晴らしいフェスティバルになるのではないかと思います。一年一年積み重ねていきたい」と抱負を述べた。 ヤノフスキ指揮による4年がかりの《ニーベルングの指環》プロジェクトは《神々の黄昏》をもって来春いよいよフィナーレを迎える。 「ワーグナー《指環》ツィクルスは私にとって非常に特別なもので、大きな喜び」と語るヤノフスキは「演奏会形式ではあるものの、舞台の奥にスクリーンを置き、作品に合ったプロジェクションがなされていることは素晴らしい解決方法だと思います。いい形で完結させることを楽しみにしています」との意気込みを語った。 このほか、『合唱の芸術シリーズ』ではシューベルト「ミサ曲第6番」がウルフ・シルマー指揮、東京都交響楽団と東京オペラシンガーズによって演奏される。『ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽』も引き続き行われるほか、今年の東京春祭で《ジークフリート》のタイトルロールを歌い、その後バイロイト音楽祭に出演し、急激に注目を集めているアンドレアス・シャーガーが、ヴァイオリンのリディア・バイチとともに「Voice n' Violin」に出演するのも注目だ。 13回目の開催となる2017年は、東京文化会館を中心に無料の演奏会を含め約150公演が行われる。『桜の街の音楽会』『東京春祭 for Kids』などの公演も前年同様に行う。 また、2018年の東京春祭ではエリーザベト・レオンスカヤによる「シューベルト・ソナタ・ツィクルス」が企画されていることも明らかにされた。東京・春・音楽祭http://www.tokyo-harusai.com/■世界文化賞受賞者が会見 第28回「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催:公益財団法人日本美術協会)の受賞者合同記者会見が10月17日、都内で行われた。絵画部門のシンディ・シャーマン、彫刻部門のアネット・メサジェ、音楽部門のギドン・クレーメル、演劇・映像部門のマーティン・スコセッシ、建築部門ではパウロ・メンデス・ダ・ホッシャの代理で息子のペドロ・メンデス・ダ・ホッシャの、各部門の受賞者が出席した。 クレーメルは合同記者会見で受賞について次のように述べた。「多くの優れた音楽家の同僚が受賞していることに驚き、私は感謝の気持ちで満たされています。この受賞は、私がやってきた事が正しいと確信させてくれました。私は芸術家であって、ただ単に聴衆を楽しませようとするエンターテイナーではありません。若い人や若い同僚には『自分の声、そして自分特有のものを見つけなさい』と言っています。私にとっては実際に何かを創作する方が価値があり、優れていると思っています。いつも作曲家や若い才能ある人たちの役に立ちたい。これからも、私のイマジネーションを育んできた古典の音楽と、今生きている作曲家の新しい音楽の両方を弾き続けていきたい」高松宮殿下記念世界文化賞http://www.praemiumimperiale.org/■「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森2017―」会見 『東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森2017ー』(開催期間:2017.3/16〜4/16、以下東京春祭)の会見が10月24日に行われ、鈴木幸一・東京・春・音楽祭実行委員長、指揮者のマレク・ヤノフスキらが出席した。左より)シンディ・シャーマン、マーティン・スコセッシ、アネット・メサジェ、ギドン・クレーメル Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE左より)二木忠男・上野観光連盟会長、鈴木幸一・実行委員長、マレク・ヤノフスキ、銭谷眞美・上野の山文化ゾーン連絡協議会会長 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE

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