eぶらあぼ 2016.11月号
46/217

43東京文化会館開館55周年・日本ベルギー友好150周年記念オペラ《眠れる美女~House of the Sleeping Beauties~》(日本初演)“川端美学”の到達点を大胆にオペラ化した衝撃作文:小田島久恵アントワン・タメスティ(ヴィオラ)と日本の俊英たち豪華メンバーの多様な魅力がホールを満たす一夜文:オヤマダアツシ12/10(土)、12/11(日)各日15:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp12/2(金)19:30 横浜みなとみらいホール問 横浜みなとみらいホール チケットセンター045-682-2000 http://www.yaf.or.jp/mmh 男の「老い」と「実存」について、文豪・川端康成が自らの美学の到達点として完成した小説『眠れる美女』。「年老いた男性が薬で眠らされた若い女性に寄り添いながら一夜を過ごす館」を舞台にしたこの奇妙な物語は、ベルギーの芸術家たちを触発し、練られた台本とスコアによってオペラ化された(演出・台本:ギー・カシアス、作曲・台本:クリス・デフォート)。 構成はユニークで、男女の声楽家と俳優が2組、ダンサー、「眠れる美女」4人を女声歌手4人がコーラスとして歌う。ベルギー王立モネ劇場での初演(2009年)以降、ベルギー国内にとどまらず欧米各都市の劇場で再演されてきたこのプロダクションが、日本ベルギー友好150周年である2016年、いよいよ日本で初演される。 老人役のバリトン、オマール・エイブライム、女役のソプラノ、カトリン・バルツに加え、注目されるのは芝居を担当する役者たちの顔ぶれ。長塚京三と原 多彩なコンサート活動でヴィオラという楽器の可能性を拡大し、来日コンサートでも毎回のように斬新な企画と演奏で聴き手を圧倒するアントワン・タメスティ。彼をメイン・ゲストに迎え、今年も多彩な活動で注目された3人の音楽家、そして俊英オーケストラが競演をはたす総決算風のコンサート『アントワン・タメスティと日本の俊英たち』が、横浜みなとみらいホールで行われる。 指揮者として鍵盤楽器奏者として幅広い活動が知られるようになった鈴木優人は、タメスティとのデュオ(19時から約15分間のプレコンサート)やオルガン独奏、さらには若い世代を中心に名手たちが集まった横浜シンフォニエッタ(みなとみらいホールの主催公演には初登場!)の指揮など、コンサートの中心的な存在に。モーツァルトの「ハフナー」交響曲を指揮するほか、小林沙羅(ソプラノ)を迎えてホールに清涼な風を送り込む《フィガロの結婚》田美枝子が物語の重要な核を演じる。「眠れる美女」を象徴する踊り手は、国際派ダンサー伊藤郁女(かおり)。注目の振付家シディ・ラルビ・シェルカウイの振付で、ベルギーのプロダクションでも伊藤がこの役を踊っている。 オペラでは、物語は三夜に再構成され、一夜ごとに特徴の異なる「眠れる美女」たちが登場する。眠りの中にいるような不思議な時間の中で、男女の本質、生と死と老いの本質が浮き彫りになり、小説の対岸から川端の世界が形作られていく様子はまさにスリリング。今までにない全く新しいオペラ体験になるはずだ。(抜粋)、ブラス・ファンなどから絶大な人気を得ている中川英二郎(トロンボーン)との共演を聴かせる。アルフレート・シュニトケ作曲によるトロンボーンとオルガンのデュオ「音響と反響」からは、どのような音楽、そしてホールの響きが生まれるのだろうか。 タメスティは鈴木が演奏するオルガンとの共演のほか、やはりシュニトケの協奏的な作品である「モノローグ」を演奏。弦楽を背景に従えながら、ヴィオラひとり語りによる多種多彩な音楽言語を聴かせてくれるはずだ。濃厚で充実した一夜を約束してくれるだろう。《眠れる美女》より ©Kurt Van der Elst伊藤郁女 ©Kurt Van der Elst原田美枝子 ©平岩 享長塚京三 中川英二郎©武藤 章鈴木優人©Marco Borgrreve小林沙羅©Nippon Columbiaアントワン・タメスティ©Alescha BIRKENHOLZ

元のページ 

page 46

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です