eぶらあぼ 2016.10月号
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9410/29(土)18:00 静岡音楽館AOI(054-251-2200)、10/30(日)15:00 兵庫県立芸術文化センター(小)(0798-68-0255)、11/1(火)19:00 東京文化会館(小)(日音03-5562-3875/チパンゴ・コンソート080-3087-1805)、11/3(木・祝)14:00 京都府立府民ホール アルティ(075-441-1414)http://homepage3.nifty.com/enricoonofriエンリコ・オノフリ(バロック・ヴァイオリン)魂に直接届けられる薬…のような音楽取材・文:寺西 肇Interview 現代感覚あふれるスタイリッシュな演奏で、古楽ムーブメントに新鮮な衝撃をもたらしたバロック・ヴァイオリンの鬼才エンリコ・オノフリ。今秋も来日を果たし、「メランコリー」を主テーマに据え、ヴィヴァルディやヴェラチーニやパンドルフィ・メアッリなどイタリア作品を中心に、多彩なバロックの佳品を披露する。古代ギリシャの哲学に倣い「音楽は、魂に直接届けられる薬のようなものでなくてはならない」というオノフリ、深い精神性に満たされたステージが期待できそうだ。 「古代、人間の気持ちは、体を循環する4つの液体(四体液説…血液、粘液、黒胆汁、黄胆汁)のバランスでもたらされると広く一般に考えられていました。我々の祖先は音楽がそのバランスを整え、心に平安をもたらすと考えていたのです。この考えは、バロック時代の作曲理論の根幹を成し、とりわけ、相対する逆位の音楽のモードこそが、心をあるべきバランスへと整えるとも考えられていました。今回焦点を当てる『メランコリー』も、単純な悲しみを指すものではなく、もっとずっと複雑な心が相互に関連した情感(心)を意味し、音楽はそれらの情感に紐付いて定義されるのです」 来日ツアーは、20年来の盟友のリッカルド・ドーニ(チェンバロ)、愛弟子である杉田せつ子(バロック・ヴァイオリン)らが共演。ヴィヴァルディの「ソナタ ニ短調 RV12」やヴェラチーニの「ソナタ・アカデミーケ op.2」などを軸に、フォンターナなど初期イタリア・バロック作品から、ヘンデルやモーツァルトまで、ステージごとに、多彩な作品が組み合わされてゆく。 特に「哀しみと情熱のはざまで」と題した東京公演では、公演に先駆け発売されるJ. S. バッハの無伴奏CDから、「パルティータ第2番」の有名な「シャコンヌ」が披露される。 「この曲はバッハの最初の妻の墓碑銘として作曲され、死に目にすら立ち会えなかった虚無感や深い喪失感が、全曲を支配しています。そして、非常に哀しいコラールのテーマに基づく一方、本来は“チャッコーナ”という艶やかな舞曲でもあるわけです。この鮮やかなコントラストが、今回のテーマと完全に一致します」 近年は指揮者として、個性的な演奏が注目を浴びている。 「私の目標は、大編成の楽団でも、室内楽のように演奏することです。それは、たとえオペラを指揮する時でさえもです。そして指揮者は、全ての奏者が息をひとつにして通じ合う活力を与えられる人間でなくてはなりません。そして、モダン楽器の楽団で古典派以前の作品を演奏する場合、特に右手による歴史的な様式をふまえた高度な弓遣いの成否こそが、最も重要なカギとなります」 また「古典やバロックの作品に繋がりのある、全ての作品に興味がある」というオノフリ。昨年は、ストラヴィンスキーを指揮したそうだ。 「私は自身のことをヴァイオリニストとは、考えておりません」とも話す。「私の魂は全ての楽器を愛し、それを演奏したいと感じています。歌声を含む全ての楽器の音色を自分のヴァイオリンにおいて表現したいと探求するわけです」 そんな鬼才にとって、音楽とはどんな存在なのだろうか? 「主にスピリチュアルなやり取りと言えます」と深淵な答えが返ってきた。11/18(金)19:00 JTアートホール アフィニス問 パシフィック・コンサート・マネジメント  03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp津田真理(ピアノ)作品に込められたショパンの心情を届けたい文:笹田和人©Minako Ishida ピアニストの津田真理は、リサイタルやオーケストラとの共演はもちろん、近年は聴衆との対話を重視したレクチャー・コンサートにも力を注ぐ実力派。全日本学生コンクールを制し、桐朋学園大学を経て、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽院やパリのエコール・ノルマルで研鑽を積み、イタリアのヴィオッティ国際コンクールで第1位と特賞、フランスのボルドー音楽祭で金賞を獲得するなど、さらなる実績を重ねた。ヨーロッパ各地でのリサイタル活動や音楽祭で活躍し、1989年に帰国。以後も、精力的な演奏活動を展開している。 今回のリサイタルは、「ショパンの真髄」と題して。バラード全4曲と、「別れの曲」「革命」などを含む練習曲集(作品10)の全12曲を取り上げる。「優雅で繊細な音楽には様々な感情が凝縮され、歌う旋律、透明な響き、大胆な展開など、何度弾いても新しい発見があります」と津田。「演奏を通して、作品に込められたショパンの心情をお楽しみいただけましたら、幸いに存じます」と語る。

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