eぶらあぼ 2016.10月号
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85石田組(弦楽アンサンブル) これがオトコのユニットだ!文:宮本 明ドキュメンタリー映画『スネーク・ダンス』× 菅野 潤ピアノ・リサイタル原爆と人間の関わりを新たな視点から見つめ直す文:長井進之介10/22(土)15:00 横浜みなとみらいホール問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000http://www.yaf.or.jp/mmh10/3(月)19:00 京都コンサートホール(小)問 otonowa 075-252-825510/5(水)19:00 せんだいメディアテーク 1階 オープンスクエア問 コンサートイマジン03-3235-377710/7(金)18:15 広島大学サタケメモリアルホール問 キャンディー・プロモーション082-249-833410/9(日)14:00 18:00 長崎/とぎつカナリーホール問 KTN事業部095-827-3400 http://www.concert.co.jp 以前、指揮者の現田茂夫に取材した際、「自分の神奈川フィル常任指揮者(現在は名誉指揮者)としての一番の仕事は、コンサートマスターに石田泰尚を連れてきたことだ」と冗談ぽく語っていた。もちろん現田はそれだけではない数々の成果をオーケストラにもたらしたが、それを成し遂げるためにも石田の存在が大きかったことは確かだろう。 繊細に大胆に、身体全体でオーケストラをリードしていく姿からは、彼の音楽への愛をひしひし感じる。その石田泰尚がプロデュースする男性だけの弦楽アンサンブルが「石田組」。かつては男だけのオーケストラも国内外に少なからず存在したが、それを「硬派」「男くささ」とキャラクターづけしたところが、クラシック音楽の演奏家としては異彩を放つ個性的なファッションを身にまとう石田らしいところだろう。 チャイコフスキーやバルトークといったクラシックの名曲から、ピアソラや映 ベルギーと日本の国交樹立150周年記念行事の一環として、映画監督マニュ・リッシュと、脚本家パトリック・マーンハムによるドキュメンタリー映画『スネーク・ダンス』の上映と、同映画の音楽を担当し、パリを拠点に活動する国際派ピアニスト、菅野潤のリサイタルのコラボレーションが全国4都市で行われる。 映画はネイティヴ・アメリカンによる雨乞いの儀式「スネーク・ダンス」をドイツの思想家アビ・ヴァールブルクが「生の恐怖の克服」と説いたことにインスピレーションを受け、科学の進歩によって生み出された原爆と人間の関わりを新たな視点から見つめ直したもの。舞台は原爆の原材料の産地コンゴに始まり、開発が行われたニューメキシコ、そして投下された日本に移る。世界がどのようにして日本への原爆投下へと至ったのか、当時の映像を使用することなく、原爆を生み出した側、犠牲となった側、それぞれの「いま」を生きる人々へのインタビューによって辿っていく。画音楽、さらにはレッド・ツェッペリンやディープ・パープルまで、さまざまな層の聴衆が身構えることなく楽しめそうな、多彩かつエンタテインメント性があふれるプログラムが用意されている。メンバーは以下のとおり。(ヴァイ 劇中及び公演で菅野が演奏するベートーヴェンやショパンは、原爆開発に関わったオットー・フリッシュの愛奏曲。原爆投下直後の広島を目撃した父を持つ菅野による上映後の生演奏が、原爆開発当時と私たちを、よりリアルに結びつオリン)石田泰尚、執行恒宏、丹羽洋輔、岩村聡弘、村井俊朗、鈴木浩司、(ヴィオラ)鈴木康浩、冨田大輔、鈴村大樹、(チェロ)金子鈴太郎、辻本玲、田草川亮太、(コントラバス)米長幸一。喧嘩上等ならぬ演奏上等。石田組参上!ける役割を果たしていく。 この公演は、原爆という巨大な脅威を乗り越えることを強いられた人々の強さを通し、現代人が生きる上で抱える苦悩をどう克服すべきなのか、改めて考え直すきっかけとなろう。石田組(2014年の公演より)石田泰尚菅野 潤 ©吉田タイスケドキュメンタリー映画『スネーク・ダンス』より

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