eぶらあぼ 2016.10月号
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84ROHM CLASSIC SPECIAL ロームシアター京都 オープニング記念事業熊本マリ ピアノコンチェルト ~華麗に、ダイナミックに~11/2(水)19:00 ロームシアター京都 メインホール問 エラート音楽事務所075-751-0617熊本マリ デビュー30周年記念 ピアノリサイタル10/11(火)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.marikumamoto.com熊本マリ(ピアノ)アニヴァーサリーはソロとコンチェルトで華やかに!取材・文:飯田有抄Interview デビュー30周年を迎えた熊本マリが、秋に二つの重要なコンサートを控えている。一つは、今年1月にオープンしたばかりのロームシアター京都での『ROHM CLASSIC SPECIAL 熊本マリ ピアノコンチェルト』。ローム株式会社が主催する同シアターでの公演第1弾に、指揮の広上淳一、京都市交響楽団と「華麗に、ダイナミックに (チラシより)」登場する。 熊本自身が選んだ演目はガーシュウィンとアルベニス。幕開けに選んだガーシュウィンの管弦楽曲「キューバ序曲」は「勢いのあるラテンの雰囲気がとても好き」と語る。続くアルベニスのピアノと管弦楽のための「スペイン狂詩曲」は、あまり演奏されることのない珍しい作品だが、「とにかく華やかで、踊り狂いたくなる曲です。もっと世に知られるべきですね」と熱を込めた。「私の中では、宗教的な幻想が教会の中からわき起こり、善と悪との闘いが繰り広げられ、最後は享楽的に爆発していく…そんなイメージです」。10代をスペインで過ごした熊本にとって、この作品に現れるスペインの圧倒的なリズムは、身体の中から湧き起こるものだという。 後半はガーシュウィンの「へ調のピアノ協奏曲」。「ラプソディ・イン・ブルー」に比べると知名度の下がる作品だが、「より完成度が高く、ピアノとオーケストラとの掛け合いがもっと面白い。部分的にはロシア的なハーモニーも聞こえてきます。第3楽章はラフマニノフの協奏曲と感覚的に似ているところもありますね」。ガーシュウィンとアルベニスは、「どちらもリズムに特徴があり、終盤はピアノと打楽器で盛大に盛り上がります。私自身が弾いていてもっとも楽しい曲を選んでいますので、この楽しさはお客様にもそのままお伝えできると思っています」 東京では30周年記念ソロリサイタルを開く。こちらは没後100年を迎えたグラナドスを中心として、同時代を生きたドビュッシー、プッチーニ、マスカーニ、ナザレらの作品を揃えた。「グラナドスはシューマンの影響を感じさせるロマンティックで抒情的な作曲家。同時代人の作品と並べることで、作曲家像を浮き彫りにしたいと思います」。 舞台衣装は、「コンサートのコンセプトを伝える大切な要素」と熊本は考えている。敬愛するコシノヒロコがデザインするドレスにも注目したい。京都公演は「強烈な赤」をイメージしたものになるという。 絶えざる探究心、そして発見の感動を原動力にしているという熊本。間もなく新しいエッセイ集『朝から晩までピアニスト―元気 奏でる小さな手』(ハンナ社)も刊行される。ますます精力的な活動に目が離せない。10/29(土)16:00 トッパンホール問 1002(イチマルマルニ)03-3264-0244 http://www.1002.co.jpマレック・シュパキエヴィッチ(チェロ) 世界を驚かせるチェロの才人が待望の再来日文:笹田和人 「心の豊かさを与えてくれる」と、世界中の聴衆から絶賛されているポーランド出身のチェリスト、マレック・シュパキエヴィッチ。彼が紡ぐ響きには、豊潤な音色と的確なテクニック、楽曲の全体像を捉える構築力と細部を余さず掬い取る緻密さなど、複層的な要素が同居している。アメリカの名門・南カリフォルニア大学などで学び、数々の国際コンクールを制して、ヨーロッパ各国で活動を展開。その一方、共同で手掛けた映画『ネバーランド』の音楽が、第77回アカデミー作曲賞を受賞するなど、多才の人物でもある。 昨年の初来日に続いて、室内楽の名手として知られる上海出身のピアニスト、ジアイ・シーと共演するリサイタル。ショパン「序奏と華麗なポロネーズ」やラフマニノフの名ソナタとシュパキエヴィッチのルーツにかかわるスラヴ系作曲家、そして、「自分の音楽を方向づけた」というアメリカ作品からガーシュウィン「3つの前奏曲」を、自らの編曲で披露するなど、人生と信念を織り込んでゆく。衣装協力:ヒロココシノ

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