eぶらあぼ 2016.10月号
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210CDCDCDCD10のプレリュード/BブルーLEUJ.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバと鍵盤楽器のためのソナタ全曲/武久源造&市瀬礼子Listen to.../上野耕平ワンダーランド/アリス=紗良・オットBLEU:Les 10 Préludes、Le Miracle de la RoseBLEU[細田真子(ピアノ)、平野義久(作曲)]J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバと鍵盤楽器のためのソナタBWV1027~1029、トッカータBWV912・914武久源造(チェンバロ/フォルテピアノ)市瀬礼子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ビゼー:カルメン・ファンタジー/リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行/ムソルグスキー:《ホヴァンシチナ》より「モスクワ川の夜明け」/J.シュトラウスⅡ:《騎士パズマン》より「チャルダーシュ」/バザン:バザンのロマンス/ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー 他上野耕平(サクソフォン/タンバリン)山中惇史(ピアノ)グリーグ:ピアノ協奏曲、抒情小曲集より「昔々」「蝶々」「春に寄す」「夜想曲」「バラード風に」、「ペール・ギュント」より「山の魔王の宮殿にて」「ソルヴェイグの歌」 他アリス=紗良・オット(ピアノ)エサ=ペッカ・サロネン(指揮)バイエルン放送交響楽団録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9004 ¥2800+税コジマ録音ALCD-1162 ¥2800+税日本コロムビアCOCQ-85295 ¥3000+税収録:2015.1、ミュンヘン(ライヴ)他ユニバーサルミュージックUCCG-1747 ¥3000+税作曲家の平野義久とピアニストの細田真子のユニット「BLEU」によるアルバム。平野は最近ではドラマ『ゆとりですがなにか』の音楽など多くの劇伴を手掛ける。「10のプレリュード」ではジャン・ジュネの世界への接近を試みているといい、細田の繊細で多様な質感を持つ音が、時に優しく、時に暗く情熱的な、そして時に官能的なハーモニーを奏でる。ピアノ音楽史の流れの中で現代に生まれたこの各プレリュードには花の名がついているが、そこに何が見えるか、聴きながら目を閉じてじっくり自分に問いかけてみると、さまざまな感情や記憶が呼び覚まされる。聴く者の想像を無限に広げる1枚。(高坂はる香)「フレットワーク」など数々の第一線アンサンブルでも活躍する名ガンビストの市瀬と、深い洞察力を駆使して数々の歴史的鍵盤楽器を弾きこなす武久との顔合わせによる、バッハのガンバ・ソナタ全曲。しなやかでありながら、常に芯を失わず、骨太さをも兼ね備えるガンバの音色。そして、楽想により、効果的かつ理知的に弾き分けられるツェル・タイプのチェンバロとジルバーマン・スタイルのフォルテピアノ。相手の鍵盤楽器が替わると発音を巧みに変える市瀬に対し、武久も繊細に反応、また異なる表現で打ち返す。親密な音楽の対話から、滋味と寛ぎに満ちた名演が生まれた。(寺西 肇)ぱんだウインドオーケストラのコンマスも務める、クラシック・サクソフォン界若手No.1奏者による第2弾。サックスのためのオリジナル曲を集めて存在感を示した前作に対し、今回はオーケストラ曲に挑戦。多彩な表現力を活かしてオペラの聴きどころを一から再構築した「カルメン」や、ジャズに傾倒して生まれ変わった21世紀版「熊蜂の飛行」から、情感に富んだドヴォルザークやモリコーネの名旋律まで。本人たっての希望で収録した《ホヴァンシチナ》の前奏曲や隠れた名曲「バザンのロマンス」も見事。J.シュトラウスⅡ「チャルダーシュ」では離れ技のタンバリンも必聴!(東端哲也)アリス=紗良・オットにとってグリーグの協奏曲は十八番。満を持しての録音でサポートがサロネン&バイエルン放送響とあっては悪い訳がない。事実、ここでは全く文句の付け所のない正統的な名演奏が展開されている。アリスのピアノは入念に彫琢された音色と表情の微細な変化が素晴らしく、同時に重厚な迫力も兼備している。以前よりさらに「一皮剥けた」印象。オーケストラの充実度も尋常ではなく、柔らかくかつ適度な重さのある低弦を主体に大きく鳴らしながらも、抜けるような透明さがある。これはもうサロネンの手腕だ。併録曲も小品と言うにはいささか構えは大きいがその分内容が実に濃い。(藤原 聡)

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