eぶらあぼ 2016.9月号
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196チェンバリストの大村千秋と藤目由梨が、1台の楽器を挟み、素敵な午後のひと時を過ごす。人気シリーズ「チェンバロの魅力」の講師・大塚直哉が推薦する、気鋭の2人。「フランス組曲第5番」や「半音階的幻想曲とフーガ」と大バッハから、スカルラッティやラモーまで多彩なソロ楽曲、さらに2人揃ってのモーツァルト「4手のためのソナタ K.19d」と多彩な名曲を、若い女性ならではの柔らかなトークを交えて。ミュンヘン交響楽団の第1ヴァイオリン奏者として活躍する千葉さくらと、数々の登竜門で実績を重ね、国際的な活動を展開するするピアノの大野瑞穂。共にドイツ・カールスルーエ音楽大学に学んだ2人の名手が、海を臨むホールに登場。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番やサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」など、デュオによる佳品に加えて、それぞれのソロ曲もじっくりと聴かせる。日本を代表するチェリストとして、半世紀以上にわたり、楽壇を牽引し続けてきた堤剛。近年もアムステルダム・チェロ・ビエンナーレで全曲邦人作品による演奏を手掛けたり、ピアノのルドルフ・ブッフビンダーとベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲に挑むなど、その活動はいっそう鋭敏に。そんな名匠が、チェリストの“旧約聖書”ことバッハの無伴奏組曲に対峙する。2回の休憩を挟み、全6曲を一気に披露する。名古屋フィル首席奏者を務める一方、ソリストとしても先鋭的な活動を展開するパーカッショニストの窪田健志。東京芸大・同大学院を経て、様々なグループのメンバーとして、国際舞台を経験してきた。今回はマリンバ、ヴィブラフォン、太鼓類と様々な楽器を駆り、バッハ「無伴奏チェロ組曲第4番」や加藤昌則への委嘱作品、クラリネット近藤千花子の共演で山川あをい「UTA Ⅶ」など、個性きらめく楽曲を“叩き”尽くす。日本のブラス界をリードする東京佼成ウインドオーケストラ(TK WO)の定期は、正指揮者・大井剛史のタクトで、アメリカの巨匠作曲家による“交響曲”を特集する。クロード・トーマス・スミスの第1番(1977)は、演奏機会も多い傑作。大乗仏教をモティーフとしたロバート・ジェイガーの第2番「三法印」(1976)は、TKWOが委嘱・初演を行った。そして、ジェイムズ・バーンズの第3番(1994)には、亡き娘への追悼の想いがこもる。月の9大野瑞穂(ピアノ) & 千葉さくら(ヴァイオリン)タカーチ弦楽四重奏団~オール・ベートーヴェン・プログラム~窪田健志(打楽器)古いにしえからのリズム、そしてウタ神奈川県民ホール 音楽のおくりものふたりのチェンバロ・コンサート東京佼成ウインドオーケストラ 第130回定期 巨匠たちを奏でる堤 剛J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会9/9(金)19:00豊洲シビックセンターホール9/21(水)19:00ヤマハホール9/10(土)15:00青山音楽記念館 バロックザール9/9(金)14:00神奈川県民ホール(小)9/22(木・祝)14:00東京芸術劇場 コンサートホール9/11(日)14:00札幌コンサートホールKitara文:笹田和人千葉さくら大野瑞穂©Shigeto Imura大村千秋藤目由梨かつてリスト音楽院の若き学生たちによって結成され、ハンガリーの伝統の延長線上で活動を始めたタカーチ弦楽四重奏団。やがて他国のメンバーも迎え入れ、アメリカへ拠点を移して、今や世界的な名人集団のひとつである。オール・ベートーヴェンで臨む今回は、第2番「挨拶する」と第11番「セリオーソ」、そして第14番の3曲をセレクト。楽聖による弦楽四重奏曲の“進化”の過程を辿る旅へ、聴衆をいざなう。窪田健志©鍋島徳恭大井剛史 ©K.Miura©Ellen Appel

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