eぶらあぼ 2016.8月号
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60フォーレ四重奏団感嘆必至! ピアノ四重奏の最高峰文:柴田克彦第37回 草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル“音楽大国”イタリアをテーマに文:笹田和人トッパンホール16周年バースデーコンサート10/1(土)18:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com10/5(水)19:00 横浜みなとみらいホール(小)問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000 http://www.yaf.or.jp/mmh他公演 9/30(金)盛岡市民文化ホール(019-621-5100)8/17(水)~8/30(火) 草津音楽の森国際コンサートホール 他問 草津アカデミー事務局03-5790-5561(8/15まで)/0279-82-5141(8/16~8/30)http://kusa2.jp 「誰でも、もう一度聴きたくなる」…このアルゲリッチの賛辞は、フォーレ四重奏団を紹介する際の常套句である。だがあえてここでも記したい。演奏を聴けば、その通りであることを心底実感するからだ。彼らは、ドイツのカールスルーエ音楽大学卒の4人によって1995年に結成された、世界でも稀な常設のピアノ四重奏団。以来20年余り同一メンバーで活動し、数々の賞を受賞するほか多彩な実績をあげている。近年来日も重ねているが、特に前回2014年のトッパンホールでの公演は圧巻。誰一人突出せずして全員の音が雄弁な驚くべきアンサンブルと、大胆かつ鮮烈かつ情熱的な表現で、聴衆を釘付けにした。 今秋、彼らはトッパンホールの新シーズン開幕の主催公演に登場する。演目は、明るく愉しいモーツァルトの第2番、彼らのために書かれた細川俊夫の「レテ(忘却)の水」(日本初演)、ブラームスの3曲中唯一の長調作品で、爽やかな曲想をもちながら、滅多に演奏さ 『草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル』は、古くからの湯治名地として知られる群馬・草津温泉を舞台として1980年にスタートした、日本で最初の夏の講習会とコンサートからなる音楽祭。37回目を数える今夏も、ウェルナー・ヒンク(ヴァイオリン)やペーター・シュミードル(クラリネット)らお馴染みの世界的名手が集結し、若手の指導やコンサートに力を注ぎ、町は湯煙と音楽の響きに包まれる。 今回は「イタリアから、イタリアへ」をテーマに、17世紀以来の音楽先進国であるイタリアを、多角的に捉えてゆく。オープニングでは、メンデルスゾーンが、同地を訪れた鮮烈な印象を投影した交響曲第4番「イタリア」ほかを、ミラン・トルコヴィッチ指揮の群馬交響楽団で披露(8/17)。また、19世紀の宗教作品の傑作であるヴェルディの「レクイエム」の小編成編曲版を、トルコヴィッチ指揮の草津アカデミー合れない大作・第2番。細川の新作も興味深いし、ブラームスの2番は「不遇な傑作を演奏するまたとない機会と、メンバー一同張り切っている」(チラシより)とのことなので、ぜひ耳にしたい。 また横浜みなとみらいホールでは、前回皆を圧倒したブラームスの人気作・第1番と、メンバーも編曲に加わった「展覧会の絵」が披露される。共にオーケストラ版に編曲されるほどの華麗さも魅力だし、前回アンコー唱団ほかで日本初演する(8/21)。そして、天羽明惠(ソプラノ)ら名歌手たちは、パノハ弦楽四重奏団やヒンクらを伴い、シューベルト「君を知るや南の国」ほか、歌によるイタリア紀行へと聴衆を誘う(8/25)。また、トーマス・インデアミューレ(オーボエ)らは、没後40年の矢代秋雄の佳品に、南国をイメールで演奏された後者の「卵の殻をつけた雛鳥の踊り」が実に面白い内容だったがゆえに、全曲の演奏は必聴! こうなると「もう二度」聴かずにはおれない。ジしたJ.シュトラウスⅡのワルツなどを添えて(8/27)。高橋アキ(ピアノ)らは、生誕150年のサティと、没後20年の武満徹を特集(8/28)。クロージングでは、シュミードルらによるクラリネット三重奏曲など、イタリアを訪れたブラームスが触発されて書いた佳品を中心に聴く(8/30)。©Mat Hennekペーター・シュミードルトーマス・インデアミューレ ©Nuttha Kwankajorn天羽明惠 ©Akira Mutoミラン・トルコヴィッチ

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