eぶらあぼ 2016.7月号
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44イマジン七夕コンサート20167/6(水)19:00 サントリーホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp山田武彦(音楽監督/作曲/ピアノ)名手たちの饗宴で華やぐ夏の名物公演取材・文:宮本 明Interview 2004年にスタートし、ほぼ毎年開催されている、音楽事務所コンサートイマジンの契約アーティストたちによる豪華な顔ぶれの『七夕コンサート』。音楽監督を務めるのが作曲家・ピアニストの山田武彦だ。 「私は“交通整理”のような役目です。サントリーホールでソロ公演するような人たちばかりなので、彼ら彼女らの出番をどのように配置するのかが大変ですね(笑)。幅広いジャンルのアーティストが揃うわけですから、その“振れ幅”を意図的に生かして、様々な対比を楽しんでいただきます。クライマックスの大合奏と奏者個々のプログラムのコントラスト、静かに聴くところと笑うところ、作り込んだ部分と即興的な部分。アーティストも曲目も、普通のコンサートでは味わえない組み合わせを聴けるので、出演する私たちにとっても刺激になります」 司会はフルートの山形由美と、作曲家・ピアニストの加藤昌則。 「いいんですよ、これが。山形さんの愛情あふれるやさしい口調が、会場の空気をすっと落ち着かせてくれます。そこに加藤さんがいい感じでボケてくれる」 自身のパフォーマンスでは新しい挑戦も。 「チラシ等には載っていませんが、佐藤久成さんと弾くモンティの『チャールダッシュ』に、コンテンポラリー・ダンスのアレッシオ・シルヴェストリンが参加してくれることになったので楽しみです。彼は作曲家でもあり、そのとんでもなく新しい身体表現はまさに音楽のようです」 所属事務所の名前を前面に押し出したガラ・コンサートは珍しいと思う。コンサートイマジンの母体は、東京近郊に住む本誌読者ならおなじみの、演奏会場でチラシを配布する画期的ビジネスを定着させた「コンサートサービス」。もともとユニークな発想があるのだろう。 「最初は私も、面白いことをやる会社だなと思いました。でもこのコンサートが仲間意識を強くしている側面もあるし、お互いの現在を見つめ合う場でもある。それを、お客さんに演奏を聴いてもらいながらできるのがいいですね。われわれ演奏家は自分の技量を磨き、信用を得て演奏機会をいただくのが仕事ですが、成長のペースは人によってさまざま。でもその過程を見守ってくれるような会社です」 なお、開演15分前からは「山田武彦・加藤昌則が大いに遊ぶ」と銘打ったプレコンサートがある。内容は「おそらく即興によるピアノ連弾」とのことだが、はたして何が出てくるか。2人の作曲家・ピアニストの遊ぶ姿を見逃さぬよう、18時45分必着!7/7(木)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp目で聴く 耳で観る 即興コンサート vol.2芸大の即興・創造講座、即興ソルフェージュ履修者による即興コンサート今、この瞬間を表現する、緊張感のあるステージ文:大塚正昭昨年の模様 写真提供:Hakuju Hall ジャンルレスな活動を展開するサクソフォン奏者の平野公崇が、洗足学園音楽大学で日本初の即興演奏の授業を開講したのが2004年。そして、11年には東京芸術大学でも即興・創造講座をスタートし、即興とはそれほど縁がなかった学生たちに「自ら発すること」を促し続けている。その成果は、昨年の七夕に平野の監修により、彼の生徒たちが中心となって開催した『目で聴く 耳で観る 即興コンサート』で実を結んだ。ピアノ、ヴァイオリン、サクソフォンなどの楽器に、ダンスやライヴ・ペインティングなどが融合した即興パフォーマンスは大好評を博し、今年の七夕には第2弾が開催される。今回の公演について「古きに目を向けるのでも、未だ見ぬ未来に目を向けるのでも無く、今、この瞬間を表現するコンサートです。今年も新たな試みで臨みます」と平野はコメントしている。まさに何が飛び出してくるのかわからない、一瞬たりとも見逃せない&聴き逃せない瞬間の連続。若い才能がリアルタイムで創り出す緊張感のあるステージをぜひ体験してみてはいかがだろうか。

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