eぶらあぼ 2016.6月号
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73山形交響楽団特別演奏会 さくらんぼコンサート2016 東京公演古楽演奏の成果が反映した鮮烈なサウンド文:笹田和人東京佼成ウインドオーケストラ親子deお出かけコンサート&ちょっと立ち寄りお帰りコンサートライフスタイルに合わせた吹奏楽の新しい楽しみ方文:笹田和人6/23(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp親子deお出かけコンサート 7/14(木)14:00ちょっと立ち寄りお帰りコンサート 7/14(木)19:30川口総合文化センター リリア問 TKWOチケットサービス0120-692-556 http://www.tkwo.jp 今やモダン楽器オーケストラにとっても、ひとつの大きなトレンドとなっているのが、ピリオド楽器の使用や時代ごとの語法を追求するなどの古楽演奏の成果を反映したHIP(Historically Informed Performance)。わが国で最も積極的な取り組みを行っている団体のひとつが、山形交響楽団だろう。音楽監督の飯森範親の指揮で臨む『さくらんぼコンサート2016』東京公演では、このアプローチによるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」などが披露される。 2013年から、バロック・チェロの先駆者である鈴木秀美を首席客演指揮者に招請し、金管楽器やティンパニはピリオド楽器を使用するなど、古典派を中心に、時にロマン派にまで至る、HIPに基づく演奏に磨きをかけている山形交響楽団。この『さくらんぼコンサート』東京公演でも、13年にモーツァルトの交響曲や協奏曲、昨年にもベートー 日本のブラス・シーンをリードする精鋭集団・東京佼成ウインドオーケストラが、川口総合文化センター リリア・メインホールを舞台として、『親子deお出かけコンサート』『ちょっと立ち寄りお帰りコンサート』という、新機軸を盛り込んだ2つのステージを同じ日に開催。聴衆それぞれのライフスタイルに合わせた、吹奏楽の新たな愉しみ方を提唱する。 午後2時開演の『親子deお出かけコンサート』は、子育て世代が対象。60分という、通常公演の約半分の演奏時間に名曲を凝縮し、全席自由で途中退場や未就学児童の入場も可能な上に、親の膝の上での鑑賞ならば1名まで無料。「子供ができてからは、好きだったコンサートもご無沙汰気味…」というお母さんやお父さんも、これならば気楽に堪能できそう。 そして、通常のコンサートよりも少し遅め、午後7時半開演の『ちょっと立ち寄りお帰りコンサート』。やはり密度の高い60分プログラムで全席自由、途中退場もできる。「仕事帰りに、気軽に本ヴェンの交響曲第3番「英雄」を飯森の指揮で披露し、高い評価を受けた。 今回取り上げるのは、ベートーヴェンの交響曲中でも、特に良く知られている「運命」。聴き慣れたはずの名曲が、鮮烈なサウンドによって、新鮮な驚きをもたらす。そして、楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを務める西村朗格サウンドを楽しみ、明日への英気を養う」といった、これまでにないリスニング・スタイルも可能となろう。 両ステージとも、一線オーケストラとの共演やオペラ、ミュージカルなど多彩に活躍する吉田行地(ぎょうち)が指揮。バーンズ「アルヴァマー序曲」の「ベートーヴェンの8つの交響曲による小交響曲」が、これに共鳴。さらに、昨年のエリザベート王妃国際コンクールを制した韓国出身の俊英ヴァイオリニスト、イム・ジヨンが山形交響楽団と初共演。メンデルスゾーンの名協奏曲を弾く。開演15分前からは、飯森によるプレ・トークもある。やリード「アルメニアン・ダンス パート1」など吹奏楽ファンにはおなじみの名曲が共通で披露されるほか、子供たちも大喜びの「ディズニー・メドレー」や、大人の雰囲気に満ちた映画『追憶』のテーマなど、それぞれのシーンに相応しい楽曲も用意されている。イム・ジヨン東京佼成ウインドオーケストラ ©Atsushi Yokota飯森範親 ©Ryo Kawasaki吉田行地

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