eぶらあぼ 2016.6月号
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52第7回 フルート・ライヴ in Hakuju 2016名匠と俊英たちによる華麗なるフルートの祭典文:宮本 明クラウス・マケラ(指揮) 東京ニューシティ管弦楽団クラシック界の未来をいち早く知る文:柴田克彦6/22(水)18:00 プレコンサート 19:00 本公演 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp第107回 定期演奏会 10/1(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京ニューシティ管弦楽団事務局03-5933-3266 http://tnco.or.jp 5/23(月)発売 フルート界の第一人者・工藤重典が仲間たちとともに贈るフルートの祭典『フルート・ライヴ』。出演は工藤以下、秋山君彦、岩佐和弘、梶川真歩、神田勇哉、西岡あかね、藤田真頼、吉田杏奈、瀧本実里、山内美慧(みさと)、脇坂颯の11人のフルーティストたち。パリで学んだ奏者たちを中心に、第一線で活躍する俊英たちが揃う眩しい陣容だが、各自が入れ替わり登場してソロを披露するだけの顔見世興行的な会ではない。アンサンブルが軸のプログラムで、バロックからジャズ・テイストの現代作品まで、さまざまな編成でこの楽器の多彩な表情を楽しませてくれる。 曲目はボワモルティエ「5本のフルートのための協奏曲」、ハイドン「神への夕べの歌」、コレット「3本のフルートのコミック協奏曲第4番」、ロレンツォ「華麗なる奇想曲」、ピルヴェストル「2本のピッコロのためのピッコリネット・ポルカ」、チャイコフスキー(中村明子編) 若手指揮者の台頭が続く中、遂に20歳の逸材が登場する! 10月の東京ニューシティ管の定期演奏会を振るクラウス・マケラ。1996年フィンランド生まれの彼は、チェリストであると同時に、12歳からシベリウス・アカデミーで指揮を学んだ。師匠は、サロネン、オラモ、サラステ、ヴァンスカ等を送り出したヨルマ・パヌラ。すでに10代で、ヘルシンキ・フィル、クオピオ響ほか同国主要楽団の多くを指揮して成功を収めたマケラは、彼らに続く(あるいは超える)逸材といえるかもしれない。 今回は、創意溢れる発想で独自の存在感を示す東京ニューシティ管ならではの大胆な起用。しかも、ブラームスの「大学祝典序曲」で重層感や構築力、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でスケール感や競奏の手腕、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「妖精の口づけ」でドラマ的な表現力をうかがい知ることができる。なお「妖精の口づ「くるみ割り人形」など。ピアノは長崎麻里香が務める。 18時からは、この中の若手3人、瀧本、山内、脇坂をフィーチュアした「プレコンサート」も行なわれる。いずれも昨年行なわれたコンクールに優勝した、高け」は、チャイコフスキーの旋律を用いた作品。ロシア的な抒情美と作曲者独特のリズムや楽器法を併せて楽しめるので、ぜひ耳にしたい。 独奏のアンドレイ・ググニン(ピアノ)も要注目だ。1987年ロシア生まれの彼は、2014年ジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで優勝し、カーネギーホールやウィーン楽友協会など世校生から大学院生までの新しい顔だ。 なお、今年4月に急逝した立花千春もこのライヴに出演予定だった。あらわにではないかもしれないけれど、自然に、仲間たちによる彼女への哀悼を込めた追善となるだろう。界20ヵ国以上の著名ホールでコンサートを行っている、同国屈指の売れっ子ピアニスト。今回演目がチャイコフスキーだけに、その魅力を知る絶好の機会となる。 2人の若き才能がいかに個性を発揮し、東京ニューシティ管といかなるケミストリーを生むのか、フレッシュな期待に充ちた公演だ。梶川真歩吉田杏奈岩佐和弘藤田真頼秋山君彦西岡あかね工藤重典神田勇哉アンドレイ・ググニンクラウス・マケラ

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