eぶらあぼ 2016.6月号
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ノブース・クァルテットチョーリャン・リン ©Sophie Zhai野平一郎 ©相田憲克堤 剛 ©鍋島徳恭上海クァルテットう一度確認できる絶好のチャンスである。シンガポールを代表するヨン・シュー・トー音楽院の優秀な学生たちと、サントリーホール室内楽アカデミーのフェローによる一夜限りの特別アンサンブルに、その人間的なメッセージが伝わっていく様子を、ぜひ体験しておきたい。 韓国の気鋭の団体ノブース・クァルテット(2007年結成)と、日本の若手ピアニスト萩原麻未がシューマンの「ピアノ五重奏曲」で共演する6月13日も興味深い。ソリストもしくはオケへの志向が強い韓国にあって、あえて弦楽四重奏という地道なジャンルを選んだ彼らの葛藤を克服させてきたものは、常に室内楽への愛(つまり対話する音楽への愛)であったという。韓国の生んだ20世紀の大作曲家ユン・イサンの「弦楽四重奏曲第1番」を、同郷の演奏家の手によって聴けるのも貴重。心にダイレクトに響く音楽となるに違いない。 上海クァルテットは結成以来33年、東京クヮルテットの偉大な足跡を継承する世界的な室内楽団体として円熟期にある。英国の作曲家ブリッジの甘美な「3つのノヴェレッテ」と、バルトークの濃密で内面的な「弦楽四重奏曲第1番」、そしてメインは晴朗さと憂いが絶妙にバランスされたブラームス晩年の名作「弦楽五重奏曲第2番」を、元東京クヮルテットのヴィオラ奏者磯村和英を迎えて演奏する。大人のための豊かな室内楽の夕べを満喫できることだろう。チェンバーミュージック・ガーデン20166/4(土)~26(日) サントリーホール ブルーローズ(小ホール)オープニング 堤 剛プロデュース20166/4(土)18:00出演:堤 剛(チェロ)/野平一郎(ピアノ)曲目:チェロ・ソナタ第2番(マルティヌー)/チェロ・ソナタ第1番(シュニトケ)/触知できない領域~チェロとピアノのための~(野平一郎)/チェロ・ソナタ ハ長調(ブリテン) 響感のアジアⅠ チョーリャン・リン6/11(土)19:00共演:ジョウ・チェン(ヴァイオリン)/堤 剛、横坂 源(チェロ)/佐藤卓史(ピアノ)/YST&CMGアンサンブル曲目:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調(アレンスキー)/ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ長調(ハイドン)/2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調(J.S.バッハ)/2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ短調(ヴィヴァルディ)Ⅱ ノブース・クァルテット6/13(月)19:00共演:萩原麻未(ピアノ)曲目:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調「アメリカ」(ドヴォルザーク)/弦楽四重奏曲第1番(ユン・イサン)/ピアノ五重奏曲 変ホ長調(シューマン)Ⅲ 上海クァルテット6/14(火)19:00共演:磯村和英(ヴィオラ)曲目:3つのノヴェレッテ(ブリッジ)/弦楽四重奏曲第1番 (バルトーク)/弦楽五重奏曲第2番 ト長調(ブラームス) 問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017http://suntory.jp/HALL/共演する日本人演奏家も充実。[左上]横坂 源 [右上]佐藤卓史[左下]萩原麻未 ©Akira Muto [右下]磯村和英 ©Marco Borggreve

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