eぶらあぼ 2016.6月号
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174SACDCDCDCDグリーンスリーヴス~エターナル・リコーダー/山岡重治ショスタコーヴィチ:交響曲第8番/ラザレフ&日本フィルJ.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)/シューリヒト&チューリヒ・バロック合奏団サンダーバード 音楽集~オリジナル・スコアによる/広上淳一&東京ガーデン・オーケストラグリーンスリーヴスによる変奏曲/J.S. バッハ:管弦楽組曲第2番よりメヌエット・バディネリ/ヴィヴァルディ:合奏協奏曲 op.3-11/モーツァルト:私は鳥刺し、恋人か女房が、アヴェ・ヴェルム・コルプス 他山岡重治(リコーダー)山縣万里(チェンバロ)レ・サンク・サンス[太田光子、浅井 愛、高橋明日香、福岡 恵]ショスタコーヴィチ:交響曲第8番アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)カール・シューリヒト(指揮)チューリヒ・バロック合奏団オープニング・テーマ、SOS原子旅客機・組曲、サンダーバード・マーチ、ニューヨークの恐怖・組曲、ジェット“モグラ号”の活躍・組曲、死の谷・組曲、エンディング・テーマ、日本版『サンダーバード』主題歌 他広上淳一(指揮)東京ガーデン・オーケストラIL DEVUメンバー 他マイスター・ミュージックMH-3076 ¥3000+税収録:2015.6/12,6/13、サントリーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00589 ¥3000+税日本コロムビア/TOWER RECORDSTWSA1012~3(2枚組) ¥4000+税日本コロムビアCOCQ-85289 ¥3000+税チェンバロ伴奏を伴ったソロ曲から複数の同属楽器を使ってのアンサンブル、オリジナルから編曲作品まで。この1枚に、リコーダーという楽器の魅力と心を捉える旋律の数々が、ぎゅっと詰まっている。バッハの管弦楽組曲第2番からの「バディネリ」など、山岡の妙技や表現力の幅広さに感嘆したかと思えば、モーツァルト《魔笛》のアリアなど、時に手回しオルガンを思わせる、温かくて郷愁を誘うリコーダー合奏のサウンドに浸る。昨近は、子供の頃に親しんだリコーダーを再び手にして、アンサンブルを楽しむシニアも増えているが、その“究極の理想”にも位置付けられよう。(笹田和人)ラザレフ&日本フィルのショスタコーヴィチ第3弾、これは実に強靭な名演。全曲にわたって厳しくテンポを引き締めるが、静謐な緊張感に満ちるというよりはもっと動的な演奏となっているのがラザレフらしくユニークだ。過度に沈鬱な雰囲気を演出したりはせず非常に剛直で、もっと言えば肯定的ですらあるが、その印象は終楽章コーダの“明るい”終結でようやく確信に変わる。旧ソ連を生きたラザレフならではの逆説的な“楽天さ”と見るのは深読み? 第2楽章主題、ヴァイオリンのテヌートは他の指揮者には見られない解釈だが何を意味しているのか。日本フィルの好調ぶりも実に頼もしい。(藤原 聡)シューリヒトは1967年1月に世を去っているので、特に66年5月録音の本ディスクは文字通り白鳥の歌である。重々しい演奏が幅を利かせていた時代だが、ハインツ・ホリガーやモーリス・アンドレら名手が参加し、愉悦の世界が軽やかな足取りで紡がれていく。しかも心地よい予定調和にとどまらず、第1番第3楽章ではヴァイオリン・ソロが前打音を強調してリズムをあえて崩したり、第5番第1楽章ではチェンバロがとんがったカデンツァを聴かせるなど、意表を突く荒技も所々に挟まれている。演奏者の自発性をとことん引き出したシューリヒト最晩年の仕事が、最新マスタリングを経て蘇ったことを喜びたい。(江藤光紀)「発見されたオリジナル・スコアによる初録音」といえば、もう音楽史の世界だ。行方不明だった『サンダーバード』のサウンドトラックのマスターテープが、2003年、スコアとともに発見されたのだそう。“サンダーバード世代”である広上淳一率いる首都圏の音大生オーケストラによるサウンドは若々しく凛々しい。あの頃うちの真空管式白黒テレビからは、こんなクリアな音は聴こえてこなかったから、懐かしさよりも新鮮さのほうが際立つ。IL DEVUの4人が歌う主題歌もいい! 男声コーラスが歌っていた昭和30〜40年代アニメ主題歌を全部やってほしいぞ。(宮本 明)

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