eぶらあぼ 2016.5月号
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55德川眞弓 ピアノ・リサイタル2016 ― C.W.ニコル 震災復興プロジェクト協賛 ―5/24(火)19:00 東京文化会館(小)問 MOMOの会050-3736-2820一般財団法人 C.W.ニコル・アファンの森財団 http://www.afan.or.jp德川眞弓(ピアノ) & C.W.ニコル(スペシャル・ゲスト)子どもたちの未来のためにできること取材・文:飯田有抄Interview 東日本大震災から5年。この間にピアニスト德川眞弓は、自らのリサイタルをチャリティとして開催してきた。その良きパートナーと言える存在がC.W.ニコルだ。彼は宮城県東松島市の子どもたちのために「C.W.ニコル・アファンの森財団」を通じて「森の学校」建設を進めている。ニコル氏の思いと活動に賛同した德川は、コンサートの収益を「森の学校」プロジェクトに協賛しているのだ。 「ニコルさんはとても懐深く人間的に大きな方で、どこか少年のような心もお持ちです。だからこそ、将来を担う子どもたちのために作るべき環境を真摯に考えておられます。『森の学校』開校まであと一歩と伺い、今回のリサイタルにかける私のモチベーションも一気に高まりました。2012年のリサイタルと13年リリースのCDでは、ドビュッシーの『子供の領分』を取り上げましたが、ニコルさんに詩の朗読をお願いしました。音楽を通じて、『忘れていないよ』『見守っているよ』という気持ちや祈りも伝えていきたいです」(德川) 「僕は被災地の子どもたちに、未来への夢をもって生きてもらいたいと願い、東松島の森の中に日本一の学校を作ろうと思いました。校舎は今年の12月25日開校予定です。すでに、森と人とが近づくための『ツリーハウス』や、思い出の町と海を一望できる『馬のひづめ展望デッキ』、森の中の自然音を楽しむための『サウンドシェルター』が完成しています。德川さんの音楽はとてもいい。僕みたいにオタマジャクシが読めないけれど音楽好きな人間にもとても親切。こうしてご一緒でき嬉しいですね」(ニコル) 5月24日のリサイタルは前半がピアノソロ。バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」を取り上げる。 「ずっと敬愛しつつ、まだ自分には…と敬遠していた作品です。しかし祈りや希望、神との対話を感じさせる作品なので、今回挑戦しようと思いました」 後半はプーランクの室内楽だ。鈴木佐英子とは「フルートとピアノのためのソナタ」を。そして池田肇のオーボエと、小山清のバソンとで「三重奏曲」を披露する。 「フランスならではの軽やかなバソンの響きをぜひ堪能していただきたいですね。ドイツのバスーンとは運指も音色も異なる楽器です。スペシャルゲストにニコルさんにもご登場いただきます。ニコルさんはハートのこもった素敵な歌声もお持ちなんですよ。当日は『森の学校』についてお話くださる予定です」 子どもたちの未来のために出来ること——このコンサートを通じて、復興への思いを新たにしたい。6/4(土)17:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール問 渋谷区文化総合センター大和田03-3464-3252 http://www.shibu-cul.jp實じつかわ川 風かおる(ピアノ) “3拍子”揃った新星のピアニズム文:高坂はる香©ミューズエンターテインメント 昨年10月にパリで開催されたロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで3位(1位なし)に入賞。話題性、高い実力、そして爽やかな風貌という条件が揃い、今大きな注目を集めている實川風。その演奏には、端正でありながら、背後に大きな空想の世界と強い感情をたぎらせているような、多面的なおもしろさがある。 今回のリサイタルでは、同コンクールでも演奏したプログラムから、ベートーヴェン「ワルトシュタイン」、またコンクール委嘱作品で實川が最優秀「新曲賞」を受賞した、J.F.ヌーブルジェ「メリーゴーランドの光」などを演奏。世界の舞台で認められた表現を日本の聴衆の前で披露する。また、實川自身の編曲によるビゼー《カルメン》より「花のアリア」やドビュッシー「前奏曲集第2巻」(抜粋)、リスト「ダンテを読んで」など、バラエティに富んだ曲目も用意。多彩な表現力と独特の感性を余すところなく発揮してくれることだろう。一音一音にエネルギーを込める熱い演奏に期待してほしい。左:德川眞弓 右:C.W.ニコル

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