eぶらあぼ 2016.5月号
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170SACDCDCDCDオマージュ ̶̶二人の天才 モーツァルトとショパンを讃えて̶̶/佐藤勝重J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲)/堀米ゆず子ストラヴィンスキー:春の祭典 他/ブーレーズ & フランス国立放送管Fall in Love.../Yoko Mariaチェルニー:《フィガロの結婚》による華麗な幻想曲/モーツァルト:きらきら星変奏曲、「レクイエム」よりラクリモーサ(リスト編)/ショパン:《ドン・ジョヴァンニ》の「お手をどうぞ」による変奏曲/オネゲル:ショパンの思い出/ブゾーニ:ショパンの前奏曲による10の変奏曲 他佐藤勝重(ピアノ)J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータBWV1001~1006堀米ゆず子(ヴァイオリン)ストラヴィンスキー:春の祭典、管弦楽のための4つのエチュードピエール・ブーレーズ(指揮)フランス国立放送管弦楽団Think of me/Time to Say Good bye/Amazing Grace/いつも何度でも/The Phantom of the Opera/Fall in Love/Ave Maria 他Yoko Maria(ソプラノ)Gijs van WInkelhof(ゲスト・ヴォーカル)コジマ録音ALCD-7199 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCL-00587(2枚組) ¥3500+税日本コロムビア/TOWER RECORDSTWSA-1009 ¥2500+税キングレコードKICD-54 ¥3000+税前半にモーツァルト、後半にショパン。さまざまな作曲家たちによる二人へのオマージュ。なぜこの二人? と思ったが、前後半の真ん中に、ショパンの葬儀でも演奏されたモツレクと、モーツァルトを主題にしたショパン自身の変奏曲が置かれていることで全体が巧みなグラデーションを描いている。丁寧な美しい音が、二人に注がれたそれぞれのまなざしを照らし出す。佐藤は日本の高校を卒業後、長くパリで腕を磨いた人。2012年末に15人の作曲家の夜想曲を集めたアルバムで満を持してソロCDデビューを果たした。前作同様、レアな作品に光が当てられているのも貴重。(宮本 明)ベルギーを拠点に国際的な活躍を続ける名手が、デビュー36年にして初めて、バッハの無伴奏ヴァイオリン作品全曲の録音に挑んだ。緩徐楽章はもちろん、急速楽章においても過剰なテンポで技巧の誇示に走ることなく、堂々とした足取りを保ち、真摯に作品に対峙。ピリオド奏法では多くを暗示に留めるバス声部や内声も美音でしっかり響かせ、“モダン楽器で弾く必然”を感じるスケールの大きな音楽創り。その一方、フレーズ一つひとつに繊細な心遣いと静かな情熱を込める。これらの作品をどう捉えて取り組んだのか、まるで独白のように堀米自身が綴ったライナー・ノーツも味わい深い。(寺西 肇)ブーレーズ、最初の「春の祭典」が初SACD化。技術的詳細はブックレットに詳しいが、SACD層の音の鮮烈さ、解像度の高さは想像通りとしても、通常層においても従来盤と比較して音質改善が見られるのは収穫だ。この両面から、所持していない方は勿論のこと、買い替えの価値も大きい。演奏については多言を要すまい。全ての音符をあるべきように音化せんとするブーレーズの「意志」と「熱さ」、そして「全体性」と「細部の表現性」の併存はこの録音にしかないものだ。録音にもよろうが「賢者の行列」でのオーボエの浮き上がり方など、今聴いてもギョッとする。(藤原 聡)シベリウスを始めとするフィンランドの作曲家による作品600曲以上をレパートリーにしていることで知られる個性派ソプラノ。今年6月には2度目となるカーネギーホールでの単独リサイタル開催も決定している彼女から届いた3枚目のアルバムは、制作に5年の歳月を費やして完成させたという力作。スピリチュアルな楽曲から映画音楽、ミュージカル・ナンバーと幅広いジャンルを、時にゲストの男性ヴォーカルを交えた斬新な解釈で伸びやかに歌い上げている。表題曲は小林明子「恋におちて」のカヴァーだが、作詞の湯川れい子氏にお墨付きを貰った英語詞にも注目!(東端哲也)

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